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2022.11.19 08:40

生きづらさを歌に変えて...「ヒゲンジツシュギ」高知県大月町出身・宮地克也さんのバンド、メジャーデビュー

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「やっぱり地元はほっとする」。母校の校庭でほほ笑む宮地克也さん(大月町弘見の旧弘見小学校)

「やっぱり地元はほっとする」。母校の校庭でほほ笑む宮地克也さん(大月町弘見の旧弘見小学校)


 高知市の2人組音楽バンド「ヒゲンジツシュギ」が23日、日本コロムビアからシングル「光と影」をリリースし、メジャーデビューする。幡多郡大月町出身のボーカル、宮地克也さん(38)が紆余(うよ)曲折を経てたどり着いた世界。長年の目標がかない、「より高いレベルの曲作りが求められる。泥くさく全力で応えたい」と力を入れ直している。

 結成は2013年。〝再出発〟を期して上京した宮地さんの人生が、新しいメロディーを奏で始めた。

デビューシングル「光と影」のジャケット写真(TCEntertainment提供)

デビューシングル「光と影」のジャケット写真(TCEntertainment提供)

 旧弘見小中学校卒業の宮地さんは、高校、大学を経て大月町役場で働いた。「大月町から世界を変えたい」という熱意が伝わったのか、イベントなどを手がける部署に配属。ただ、「報連相もまともにできなかった」と振り返るように、やる気とは裏腹に細かなミスが続いた。自信を失い、2年目の途中にうつで休職した。

 幼少期は人前で踊ったり歌ったりすることが好きなひょうきん者だった。「それまで自分の考えは正しいと思っていた」。しかし、療養中は「正しいこととは何か」と答えのない自問自答をする日々が続いたという。

 ただ、療養中でも歌を口ずさめば気分が晴れた。生きていると感じた。「ろくにギターも弾けないのに」役場を辞め、上京したのは25歳の冬。ひきこもりを経験したことのある、ギター担当のはんやるはるやさん(34)=横浜市出身=と出会い、ヒゲンジツシュギが誕生した。

 挫折を乗り越えてきた2人は、生きづらさを感じる子どもらの前で演奏し、励まし続けた。思いを込めた歌詞と実体験に基づくトークで、「正しいことは分からない。けど、間違ったことなんてない」と。

 「つらい経験があったから今の音楽を作れる」という宮地さん。メッセージ性の高い歌詞が評価され、メジャーデビューにつながった。表題曲に選んだラブソング「光と影」。〈生まれては消えてゆく 僕らのこの命に一体何の意味があるのか それすら知らない〉と、不安な心情がつづられる。「愛してるとか、表面的な言葉だけでなく、そこに至るまでの孤独といった心の動きも表現したい」と宮地さん。「その方がよっぽど人間らしいから」と笑う。 

 16年に活動拠点を高知市に移し、企業CMやよさこいチームへの楽曲提供、イベントの企画運営も手がける。タレントやミュージシャンの育成なども含め活動の幅を広げており、「多くの人がライブに足を運んでほしい。音楽で大月にも恩返しをしていきたいですね」と目を輝かせた。

 シングルは4曲入りで1350円(税込み)。メジャーデビュー記念ライブを24日に宿毛市、26日に高知市で開く。問い合わせはTCEntertainment(088・879・8561)へ。 (坂本 出)

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