2022.11.12 08:40
西洋料理、氷の彫刻に情熱…現代の名工に川島シェフ(ザ クラウンパレス新阪急高知・調理部長)
厨房で宴会の料理を準備する川島豊さん(高知市本町4丁目の「ザ クラウンパレス新阪急高知」)
安芸市出身。安芸工業高校を出て実家の工務店を手伝っていたが、「何か違う気がした」。幼少期から料理好きで、母の弁当に自らトマトを入れて色を足した記憶がよみがえった。21歳で高知市のレストランに入り、野菜や魚の下ごしらえから修業を始めた。
川島さんによるスペインのサグラダ・ファミリアの氷彫刻
「会場で作品を見上げて『わあっ!』と息をのむお客様を見るのが好き」。調理に加えて、披露宴などで飾る氷の彫刻の技もひたすら磨いてきた。
手先が器用で、「高校時代は誰よりもたくさん図面を引いた経験」が生きた。天使の羽や女神の腕は、2時間の宴会で溶けないぎりぎりの寸法で軽やかさを表す。休日には県内外の美術館を訪ねて次の造形のアイデアを練ってきた。
コンクールでは氷点下で夜通し20時間、重さ135キロの氷柱8本を削り続けることも。パーツを組み合わせた高さ2メートル超の鳳凰(ほうおう)や不死鳥は12、14年の全国大会で優勝し、国際大会でも上位に入った。
コロナ下でホテルの料理も個人盛りが主に。大皿が映えるパーティーはまだ先になりそう。近年は体力的にきついコンクール出場は控える代わりに、ナイフ1本で果物に細工を施すカービングを始め、宴会後に厨房(ちゅうぼう)の若手と議論しつつさらなる技術向上に励む。
「好きなことをしてここまで来た。やっぱり、ホテルのパーティーってわくわくするじゃないですか。挑戦して成長する楽しさを若い人に伝えたい」。スマートフォンにとりためたカービング作品を示して目を輝かせた。(蒲原明佳)