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2022.11.22 08:30

「新撰日本植物図説」を刊行 シン・マキノ伝【35】=第3部= 田中純子(牧野記念庭園学芸員)

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牧野富太郎「クラガリシダ」(新撰日本植物図説第56、57、58図版)

牧野富太郎「クラガリシダ」(新撰日本植物図説第56、57、58図版)

 牧野は「大日本植物志」の編さんとほぼ並行して、「新撰日本植物図説」の刊行にも着手する。その理由は、自叙伝に再録した序に記されてある。つまり、日本の植物誌を完成することが自分の素志であり大学で企画した大事業を成し遂げることが自分の一生の任務と心得ているが、教育上の目的と困窮を極める家計の補いのためからこの書を発刊することにしたという。しかしながら、牧野の生活を救うことにはならなかったと自叙伝に書かれる。

 「新撰日本植物図説」は明治32(1899)年から明治36年にかけて逐次刊行され、2巻からなり、図数は合わせて100図に及ぶ。副題に「顕花及羊歯類部」とあるように、シダ類の図が多く、細部まで詳細に描かれた力作が並ぶ。植物分類学を専門とされる大場秀章氏は、同書に載る第56から58の3図版が新属新種クラガリシダの優れた図解論文であり、「まちがいなく牧野の植物画中,植物学の立場からみた最高傑作である」…

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