2022.11.10 10:33
【復刻・ハルウララ報道】100連敗 単勝1.8倍の1番人気 9着だけど…5000人魅了 高知競馬
5000人を超える観衆の前で力走するハルウララ(左から4頭目、黄帽)=写真はいずれも高知競馬場
(2003年12月15日掲載)
ハルウララ、百連敗――。高知競馬(高知市長浜)で九十九連敗中の牝馬、ハルウララが十四日、第七レース「ネバーギブアップ・ハルウララ百戦記念特別」(千三百メートル、十頭)に登場。百戦目での初勝利を目指したが、九着に敗れた。負け続けても頑張る姿がファンの共感を呼び、この日は五千七十四人の大観衆となった。約四年ぶりの五千人突破で、馬券の前売りもハルウララ一色。午後二時二十分のレース開始の十五分前まで、単勝一・〇倍と圧倒的支持を受けた一番人気(最終オッズ一・八倍)だった。
鞍上(あんじょう)は古川文貴騎手。スタート直後、スタンド前で先行争いに加わったハルウララに大歓声。結局二番手集団の内側を追走し、仕掛けどころの第三コーナー手前。古川騎手が外に持ち出し追い出しにかかると、「さあ、ここで動いた」と場内アナウンスも熱がこもった。しかし最後は直線で伸び脚を欠いて失速。「あーっ」というため息とともにゴール板を駆け抜けた。
九着に沈んだレース以上に盛り上がったのは、その後の感謝状贈呈のセレモニー。ニンジンを連ねた丸い首飾りが贈られたが、ハルウララは後ずさりして“辞退”するしぐさ。なかなか首にかけてくれず、スタンドを大いに沸かせた。
このレースの売り上げは一千五百七十八万円で、単勝売り上げ三百一万円は同競馬史上最高額。この日の総売り上げは平均より二千万円多い九千二十万円だった。
■宗石調教師 「まっこと、またかった」 報道陣前に異例の会見
「まっこと、またかった。また勝った、とは違いまして…」。ハルウララの調教師、宗石大さん(52)がレース後、地方競馬では異例の記者会見。ひょうひょうとした口調で「記念の百戦目」に味わいを添えた。
この日は取材陣はテレビ、新聞、出版社など計三十三社、約百二十人。あまりの多さに収拾がつかず、県競馬組合が事務局内に会見場を設けた。
レース後に会見する宗石調教師=右端。「中央競馬でもこんなのないねー」と取材陣
「ハルウララの魅力は?」の質問には、「魅力は、はっきり言ってないですけど…」。身もふたもない答えに、同組合の広報担当者が「あのですねー、土佐人の場合の『魅力がない』は照れ隠しが入っておりましてー」と慌てて…