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2022.11.14 08:30

「異形なものムジナモ」シン・マキノ伝【27】=第3部= 田中純子(牧野記念庭園学芸員)

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 明治26(1893)年10月に、「植物学雑誌」第7巻第80号の「Notes on Japanese Plants, XIX」にムジナモの図が掲載された。3年前の明治23年11月に、矢田部良吉から植物学教室への出入りが差し止めになって研究が続けられなくなったあの時に調べていた植物である。そして、研究が続けられるよう帝国大学農科大学の場を提供してくれた池野成一郎の協力があった。

牧野富太郎「ムジナモの図」(日本植物志図篇第12集第70版、高知県立牧野植物園所蔵)

牧野富太郎「ムジナモの図」(日本植物志図篇第12集第70版、高知県立牧野植物園所蔵)


 牧野がムジナモを見つけたのは明治23年5月11日のことである。発見の時の状況を自叙伝に次のように記している。すなわち「江戸川の土堤内の用水池の周囲にヤナギが茂っているので、その実を手折(たお)ろうとした刹那(せつな)、ふと水面を見ると異形なものが浮かんでいるので、早速とりあげて見たが、全く見慣れぬ水草なので驚いて大学へ持帰り、皆に見せると、皆も非常に驚いたが、矢田部教授は書物の中に思い当たるものがあるといい…

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