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2022.11.08 08:00

【中小資金繰り】経営再建へ支援を厚く

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 新型コロナウイルス禍で苦しむ中小企業に手厚い支援が必要だ。借入資金の返済負担ものしかかる。地域経済の活力維持へ効果的な方策を模索し続けたい。
 政府は新型コロナで打撃を受けた中小企業に実施する実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)について、年内にも新たな支援策を策定する方向だ。期間の長い融資への借り換えを促すという。
 新型コロナの新規感染者数はひとまず落ち着きをみせているものの、多くの中小企業の経営は悪化したままだ。打撃が特に大きい宿泊や飲食業を中心に、膨らんだ債務の返済がのしかかってくる。
 この融資は2020年に政府系金融機関で、売り上げが減少した企業に対して始まった。申し込みが多く、民間金融機関でも取り扱うようになった。企業の資金繰りを下支えして倒産をある程度抑えてきた。
 返済は3年ほどたって始める企業が多く、来年夏ごろからの本格化が見込まれる。その前に負担を軽減する対応を取る必要がある。
 新たな対策は、民間の金融機関が借り換えに応じやすいように融資の保証を国が支援し、企業が信用保証協会に支払う保証料を低くする。融資期間が長くなる借り換えで企業は利払いなどの負担は増えるが、月々の返済額を抑えられる。
 言うまでもなく、新たな支援策を通して経営再建に取り組むことが重要だ。このため申請時には、収益力強化の計画を提出するよう求める意向という。設備投資の資金などに充てられるよう、保証限度額の拡大も検討されているようだ。 
 保証付きの融資は焦げ付きのリスクが回避できるため、金融機関にとっても都合が良い。だからといって審査が甘くなったり、既存融資の付け替えをしたりすることがないよう厳格な姿勢で臨むのは責務だ。
 新型コロナの感染拡大に伴い、政府はゼロゼロ融資や持続化給付金などを導入した。雇用成長助成金の特例措置を活用した企業も多かった。支援を優先して審査を簡略化したことが不正受給につながりもした。事後の確認で厳正に対処することが重要だ。
 政府は新型コロナとの共生を目指し、全国規模の旅行支援を再開した。入国制限もほぼコロナ前の水準に戻った。人の往来の活発化とともに経済活動の正常化が期待され、業績の回復にも追い風となる。
 そのためにも多面的な支援策が必要だが、一方で経営実態を無視して延命を図るような対応は許されない。財政を悪化させては新たな施策が制限されてしまう。
 新型コロナにとどまらず、物価の高騰も経営の重しとなる。中小企業は力関係から、資材費などのコスト上昇分を価格転嫁しにくい状況にある。そうした経営環境にも目配りしていくことが必要だ。
 企業の収益力改善や事業再構築など新型コロナ後を見据えた対応が求められる。新たな取り組みに乗り出す環境をつくっていきたい。

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