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2022.10.26 08:00

【山際再生相更迭】教団との関係は未解明だ

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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が相次いで発覚した山際大志郎経済再生担当相が事実上の更迭に追い込まれた。後任には前厚生労働相の後藤茂之氏が就いた。
 教会との関わりを、外部から指摘されて認める「後手対応」に批判が集まっていた。岸田文雄首相は内閣支持率が落ち込む中で対応を迫られた格好で、任命責任が厳しく問われよう。
 山際氏は、近く打ち出す総合経済対策や新型コロナウイルス対応などを担っていた。重要閣僚の一人だったが、その責任感が疑われるような言動が続いていた。
 ことし8月の内閣改造では、旧統一教会と関わりのあった7閣僚が入れ替わった。だが、山際氏は改造当日になって教会関連団体への会費支出を認めながら留任。教会トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁との対面を含め、2011~19年に会合出席など計7件の接点が判明した。いずれも記者から追及されて答えた形だった。
 国会審議でも、「覚えていない」「これから新しい事実が出てくる可能性がある」などとまるで人ごとのような答弁を繰り返していた。とても説明責任を果たしたとは言えない。辞任の理由についても「国会審議に支障を来す」としており、有権者と向き合う意識の低さ、不誠実さは否めないだろう。
 山際氏への対応のみならず、首相も旧統一教会を巡る問題への腰は重い。
 閣僚を含めた自民党議員と旧統一教会の関係に焦点が当たった当初、自民党総裁として党内調査に消極的だった。世論に押される形で実施した調査では、所属国会議員の半数近い180人に会合出席や選挙支援といった接点が判明している。
 だが、調査は各議員の自己申告にとどまる不十分な内容だった。そうした中途半端な対応がさらに疑念を生み、後手対応につながる悪循環に陥っているように見える。
 旧統一教会の関連団体が国政選挙で、自民党議員に教会側が掲げる政策を推進するよう「推薦確認書」を提示し、署名を要求していたことが明らかになった。内容は憲法改正のほか、LGBT(性的少数者)や同性婚合法化への慎重な対応などで、事実上の「政策協定」と受け止めた議員もいたという。
 果たして選挙支援を通じて、自民党の政策がゆがめられたことはなかったのか。
 ほかにも、組織票を差配していたとの報道がある安倍晋三元首相と教会の関係や、15年の教団名称変更の経緯にも疑念が残る。首相は党による組織的な調査に慎重姿勢を示しているが、疑惑の本質に迫る調査を避け続ければ、政権への不信に拍車をかけるに違いない。
 これまで自民党は教会との組織的関係を否定し、議員それぞれに「説明責任」を求める対応をとってきた。しかし、多くの所属議員との重層的な関係が問題視されている。その一例である山際氏が辞任しても当然、幕引きとはならない。

高知のニュース 社説

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