2022.10.16 08:33
牧野富太郎博士、色あせぬ功績 親族や研究者が人物像語る 高知県佐川町でシンポ「トミット」
牧野富太郎博士の横顔や功績を振り返った「トミット」(佐川町甲の桜座)
約6年ぶりに復活した「とみたろう弁当」(佐川町甲の名教館)
シンポは牧野博士の生誕160年記念事業実行委員会が主催。博士のひ孫で東京都練馬区立牧野記念庭園学芸員の牧野一浡(かずおき)さん(76)、県立牧野植物園学芸員の藤井聖子さん(41)らが登壇し、県内外から集まった約240人が耳を傾けた。
一浡さんは「富太郎は時間があれば書斎にこもり、ひ孫と遊ぶ時間は取れなかった」と回想。亡くなる間際には病床で歯を食いしばって涙を流していたといい「やることがたくさんあって300年でも400年でも生きたかったんだと思う」と、終生衰えることのなかった仕事への情熱を紹介した。
藤井さんは「博士は全国を歩いて植物の愛好家を育て、各地の新種の情報が届くようにした。地方の植物標本をたくさん集められたのは、地道な活動のたまもの」と、植物分類学の普及発展に果たした博士の功績をたたえた。
シンポ後には散策ツアーを開催。同町の牧野公園周辺を歩いた約30人には、博士の好物だったすき焼きやトマト、焼きサバずしなどを詰め合わせた「とみたろう弁当」が振る舞われた。
約10年前に町の女性グループ「佐川び人連」が考案した弁当は、メンバーの高齢化などで6年ほど前から作られなくなっていたが、今回久しぶりに復活。参加者にも好評で、メンバーの田村裕子さん(76)は「町を盛り上げるため、また機会があれば作りたい。弁当を継承してくれる若い人が出てくれたらうれしい」と話していた。(楠瀬健太)