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2022.10.07 14:08

「2022水曜どうでしょうCARAVAN」高知・中土佐町に行ってみた!番組とファンの愛を感じるイベント

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 藩士、「聖地」高知に集合! 10月5日に高知県中土佐町で開かれた「2022水曜どうでしょうCARAVAN(キャラバン)KOCHI・NAKATOSA」。北海道発の超人気テレビ番組「水曜どうでしょう」から生まれた、全国各地を巡るイベントで、番組制作側とファンとの交流やグッズ販売などを行います。4年ぶりの開催となった今年高知県では何と四国初の開催。どうでしょうの熱心なファンを「藩士」と呼びますが、20年来の藩士である記者も開催を心待ちにしていました。会場での様子をお届けします。


北海道テレビ(HTB)の番組「水曜どうでしょう」は俳優・大泉洋さん、鈴井貴之さんと番組ディレクターの藤村忠寿さん、嬉野雅道さんらが出演。1996年の放送開始以来、国内外で「サイコロの旅」など様々な企画を通じて過酷な旅を行う様子が人気となり、地方局の一番組を超えて今や全国的なコンテンツとなりました。番組中では「四国八十八ヶ所完全巡礼」など多くの企画で四国を訪れ、高知県内でも数々の名場面を撮影したため、四国及び高知はファンの間で「聖地」とも呼ばれています。

レギュラー放送終了後も数年おきに新作を放送し、2011年には「原付日本列島制覇 東京-紀伊半島-高知」で大泉さんらがホンダ・スーパーカブにまたがってゴールの高知・桂浜を目指しました。近年では新作のニュースがあるたびにネットなどでファンが大騒ぎ。つい先日の9月末には、2023年に新作が放送されること、すでに撮影を行ったことなどがYoutubeのライブ配信で明かされ、視聴した20万人以上が歓声を上げました。


そんな超人気番組が、番組コンセプトと同じように地域を旅するのが「どうでしょうCARAVAN」です。2014年、東北地方を巡る旅としてスタート。徐々に開催地域を増やし、2018年には兵庫県など12会場を回りました。2019年にはいよいよ四国に上陸しようと計画していたところ、コロナ禍で中止に...。3年間待ち続け、やっと今年、開催の運びとなりました。


前置きが長くなりましたが、会場の様子を見ていきましょう。中土佐町の道の駅なかとさ・芝生広場には、すでに大勢のファンが集まっていました。大きな黄色いトラックは、荷台がそのままステージとなる特別仕様。キャラバンには藤村さん、嬉野さんの両ディレクターが帯同しており、どうでしょうの裏話たっぷりのトークショーも行われました。


ステージでは他にも、ロックバンド「打首獄門同好会」のライブも。どうでしょうの様々な名場面を曲にしてアコースティックスタイルで歌い上げ、大きな拍手を浴びました。


会場ではグッズ販売やスマートボールなどのアトラクションがずらり。グッズはあっという間に大半が売り切れ、番組の人気がうかがえます。グッズの数が多いのは、長年続く番組の中で多すぎる名場面を製品化しているからでしょう。HTBマスコット「ONちゃん」のぬいぐるみなど、番組ゆかりのものを身につけている人も多く、どうでしょうの世界観をゆったりと楽しんでいました。


また、隣の道の駅や近くの大正町市場では、とれたてのカツオなど地元名物を「藩士丼」として提供。5店舗が「かつおのユッケ丼」「かつお大盛くれ天丼」などを販売し、訪れた人たちの舌を楽しませていました。

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10/5水曜どうでしょうキャラバン・高知県中土佐町に!とれたてカツオの特製「丼」で歓迎


この日は3連休前の平日。しかも会場は高知市からも離れた中土佐町です。それでも県内外から多くの人が訪れ、来場者の合計は約1500人。高松市から来た片岡理恵さん、坂本真衣さんは会社の同僚。2人で北海道でのイベント「どうでしょう祭」に参加するほどのファンで、「四国での開催はうれしい!ずうっと待っていました」と声を弾ませていました。


お二人のように熱心なファンが多いはずの会場は、大勢がいても大声が響くでもなく、のんびりとした空気。HTBスタッフによれば、キャラバンはどの会場でも同じような雰囲気で、感染対策なども含めて「ファンがルールをちゃんと守ってくれるんです。すごく信頼しています」。番組と、ファンの間にある愛を感じる、不思議な空間でした。


そういえばなぜ、四国の中でも中土佐町での開催となったのでしょう。どうでしょうCARAVANは開催地を決めるとき、自治体に声を掛け、手を上げた市町村をスタッフが実際に訪れるなどして絞り込んでいくそうです。2019年の段階では、高知県から他県の数倍の市町村が立候補したそうで、HTBのスタッフいわく「異常な数」。聖地のプライドを見せつけました。

その中でスタッフが実際に市町村を訪れた結果、中土佐町の雰囲気が「海があって絵になる町。のんびりとして、私たちのイベントにぴったり」と大いにフィットしたようです。元々、どうでしょうCARAVANは大規模な集客を目指さず、ファンとの距離感を縮めるイベント。中土佐町を選んだのも、そんな雰囲気を重視したみたいですね。


間を取り持った高知県観光政策課の中にも熱烈な藩士(ファン)がいたようです。イベント向けに作り上げたのは、「『水曜どうでしょう』高知県ロケ地マップ 高知どうでしょう」。赤を基調とした1枚のパンフレットには、どうでしょうの舞台となった県内のスポットを「まっこと曲がるぜよ」「襲いかかる高知」など、番組内での名言とともに紹介しており、どうでしょうへの愛が強く感じられます。担当者は「イベントをきっかけに県外客が増えて、県内を周遊してくれれば」と話していましたが、趣味と業務の両立、素晴らしいお仕事です。


■県内で名高い「聖地」は、黒潮町のうどん店
ほっこり味めぐり(11)力豚のカレーうどん いろりや(黒潮町入野)


最後に、藤村ディレクターにお話を聞きました。会場で嬉野さんと一緒にファンのサインに応じたり、ブースを見て回ったりとリラックスモードの藤村さん。高知は新婚旅行の地に選ぶなど何度も来ていて、すっかりなじんでいるようです。


どうでしょうCARAVANは地方→地方のイベント。過疎に悩む県内自治体にも大きなヒントとなりそうですが、集客目当てのイベントのつもりはないと言います。

「地方のイベントだと、活性化とかで人を何人呼んだ、呼ばなきゃいけないとなりがちだけど、まずは自分たちが楽しむことですよ。外から持ってきた型にはまって『~しなきゃ』って、自分を苦しめてるのはだめ」

水曜どうでしょうも、「自分たちが楽しいから長年やっている」と言います。

「それを見て楽しんでくれる人がいるから続いてる。(地方の)活性化ってのも、中の人たちがまず活性化すること。自分たちで面白がってれば、それを面白いと思った人が来るんですよ」


確かに、どうでしょうCARAVANのスタッフはみんな楽しそう。20人弱の少数精鋭で、1カ月近く続く長旅の疲れも見せず、陽気にてきぱきと仕事をこなしています。藤村さんの言葉にも楽しさがこもります。

「活性化でも何でも、中心になる人は5~6人でいいんだよね。人数は少なくていいから、自分たちがやりたいことをやっちゃうのが大事。組織内ではいろいろ壁もあるだろうけど、突破してくんですよね、やりたいことがあるなら」

どうでしょうも?

「そうでした。だってやりたいことしかやりたくないもの」


始まりは低予算の深夜番組だった水曜どうでしょう。10週分の予算を使って旅に出て、10週分の番組を作るという手法を編み出し、北海道の番組なのに海外ロケも行うなどして、注目を集めました。前例のない番組、さぞかし内部では大変だったと思いますが、突破してしまい、それを貫いたから今があるんですね。


そしてHTBはテレビ局というメディアですが、「一方的に電波を届けて終わりではない」と言います。

「新聞社もそうでしょう?記事を書くのだけが仕事じゃなく、コミュニティーを作ることが仕事ですよ。この新聞良いなと思ってくれて、読んでくれる人を増やすといいことがある」。深い言葉、記者の心に刺さりまくりです。

「それで、足を運んで(視聴者と)直接顔を合わせるようなことがしたかった。実際にこうやって足を運ぶと、(水曜どうでしょうという番組が)まだ続いている、やってるんだということを伝えられるでしょう」

生存確認みたいな感じですか?

「そうそう。やってるかい、って呼んでくれるから行く。10万人のフェスじゃなくても、それで十分」


最後に、来年放送予定の新作について聞くと「期待してほしくない」と笑い飛ばします。

「もう年食って無理なこともしたくないし、ファンの期待も裏切るかもしれない。でも、面白いと思ってくれた人だけでいいんじゃないかな」

そうにっこり、堂々とした笑顔に感服しました。さすがは藤村さん!


どうでしょうCARAVANは10月8日に兵庫県加東市、10日に岡山県備前市で開かれ、今年の日程に幕を閉じます。今回中土佐町に来れなかった藩士や、興味を持った方は、3連休に各会場へ行ってみては?

■詳しい日程などはこちらから
「2022水曜どうでしょうCARAVAN(リンク)

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