2022.10.06 08:40
６０代１人暮らし 明るく指南 南国市のユーチューバー・ミミさん 日常楽しむ姿に共感高まる
６０代の楽しみを発信している“ミミさん”こと渡辺峰代さん。本づくりのため、出版社のカメラマンが日常のファッションを撮影した（３月、南国市の自宅）
初めての本 発売へ
６０代１人暮らしを楽しむ知恵を発信している人気ユーチューバーが県内にいる。南国市の“Ｍｉｍｉ（ミミ）さん”こと渡辺峰代さん（６２）。加齢への不安を正直に吐露しながら、日常を楽しむ姿が同世代の支持を受け、登録者は現在４万人を超えた。ミミさんの発信は東京の出版編集者の目にも留まり、初めての本「６０代ひとり暮らし 明るく楽しく生きる術。」が１０日、県内書店などで発売される。
「６０代ひとり暮らし 明るく楽しむ生きる術。」
店長をしていた６０歳の時、同居していた９０代の母が介護施設に入り、マンションでネコの「茶太郎」と人生初の１人暮らしとなった。
新型コロナウイルス下、オンライン会議でデジタル機器を使う頻度が増え、ユーチューブが身近な存在に。同僚のお勧めなどいろいろなチャンネルを見る中、「私の年代に合ったチャンネルがない」と感じたという。「それならやってみよう」と、昨年６月、ユーチューブチャンネル「Ｍｉｍｉ＇ｓ ｌｉｆｅ」を始めた。
最初の投稿は「年を取ると楽しいことは減る？」。答えは「いいえ」。若い時ほど刺激は少なくなるが、何でもない日常に感謝できるようになったからだ。６０代１人暮らしをうたい、「シニア流白Ｔシャツの着こなし」「頑張らないメーク」―。毎日が楽しくなる衣食住のアイデアを発信すると反響は大きく、チャンネル登録者が日に日に増えていった。
「彼女のおしゃれは私たち世代の延長線上にある。少し下の世代には希望に見えた」と、東京の出版社の４０代女性編集者。彼女の等身大のライフスタイルを本にまとめることが社内で決まり、今年３月、ライターとカメラマンがミミさんの自宅や近所で取材・撮影を行った。
本はファッションや料理、暮らしの極意など５章で構成し、ミミさんがモデルとなって指南する。体形の悩みにはＡラインベストでおなかをカバーする着こなしのこつを。顔色がくすんで見える悩みには、「シミ、シワのカバーに力を入れるより、メークで血色、ツヤ感をプラスして」。
母を家で介護した経験から、「老い」の備えにも敏感。「老いた体に大きな家具は危険。１人で動かせるものを」と呼び掛ける。
今の自分を受け入れることで毎日が前向きに変わるという。「何が自分に元気をくれるのかを考えて―。私は好きな服を着て過ごせば一日、楽しい」と笑顔で語り、「１人は不安だし不便。でも自分の意思だけで選択できる『自由』がある。老いへの不安はあるけど同じ一日なら毎日楽しく！ １人暮らしの支えは他でもない自分自身なのだから」
１０月１７日トークイベント
「６０代ひとり暮らし―」は、主婦と生活社刊で１８７０円。現代企業社の飲食店でも販売予定。発売を記念して、ミミさんのトークイベントが１７日午後７時から高知市南御座の「高知 蔦屋書店」で行われる。無料。（村瀬佐保）
