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2022.10.03 08:00

【臨時国会召集】「丁寧な説明」実践せよ

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 臨時国会がきょう召集される。8月の内閣改造後、初めて本格的な論戦が行われる。
 岸田政権が誕生してあすで1年になる。発足以降60%前後を維持してきた内閣支持率は、直近の調査では40%に急落し、不支持が上回った。政権の1年を総括する機会でもある。山積する課題に正面から向き合った議論を望みたい。
 安倍晋三元首相の国葬は重要な論点だ。世論は賛否で分断された。実施の法的根拠や、国会に諮らないままの閣議決定に批判が高まった。また、国費支出の膨張や弔意の強制が警戒された。
 政府は検証作業に入るが、言うまでもなく国会での検証が不可欠だ。閉会中審査での岸田文雄首相の答弁は、それまでの発言内容に終始した。疑問や懸念が解消されなければ世論の分断を一段と深めかねず、政治の信頼にも関わっていく。野党もまた力量が試される。
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側と政治のつながりの解明も欠かせない。首相が内閣改造を想定より1カ月ほど前倒して体制を一新したのは、接点がある閣僚がいたためと指摘された。しかし、その後も関係が相次いで判明している。
 安倍氏銃撃事件で、教団と自民党の関係に強い関心が向けられた。自民は組織的関係はないとの姿勢だが、区切りをつけられる状況ではない。政策がゆがめられなかったか検証が欠かせない。野党の中にも接点のある議員はいるとはいえ、追及を緩められないのは当然だ。
 物価高対策も重要課題となる。物価高に対する首相の対応を世論は7割が評価していない。総合経済対策を反映する2022年度補正予算案が提出される予定だ。実効性を十分に検討することが求められる。同時に財政の健全性への配慮が必要だ。それを無視するようでは重いつけを残してしまう。
 新型コロナウイルスを巡り、政府は感染者の全数把握を簡略化した。医療機関の事務負担は軽減が期待されるが、届け出対象外の人が自宅療養中に容体が急変した場合の対応など課題が指摘される。観光支援策の拡大や訪日客の水際対策の緩和なども進む。経済社会活動との両立を着実に進めるには、混乱を招かないきめ細やかな対応が必要となる。
 岸田政権の発足時、世論は7割近くが安倍、菅両政権の路線からの転換を求めた。強弁やはぐらかしで説明責任を回避し、国会を軽視した政権への不信感と受け取られた。森友学園や桜を見る会、参院選広島選挙区の選挙資金問題など、「負の遺産」と向き合うことへの期待でもあっただろう。しかし、それを首相が受け止めたとは思いにくい。
 発足直後の衆院選、先の参院選で大勝し、首相は当面、政権を安定運営できると評されたが、支持率は下がっている。首相の言う「丁寧な説明」が国民に届いていないからにほかならない。それがなければ「信頼と共感」も得られはしない。首相の姿勢が鍵を握っている。

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