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2022.09.05 08:00

【新体制の野党】国会活性化へ重い責務

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 野党第1党の立憲民主党と、第2党の日本維新の会がそれぞれ、執行部体制を刷新した。
 巨大与党の慢心や緩みを防ぐには存在感のある野党が欠かせない。参院選で大勝した岸田政権は、安倍晋三元首相の国葬や原発新設の検討など、重要事項を幅広い議論を経ずに決める姿勢も目立つ。緊張感のある政治にするため、両野党の新執行部は責任を果たしてもらいたい。
 参院選で厳しい結果となった立民は、新幹事長に岡田克也元副総理を起用するなどベテラン中心の布陣を敷いた。安定感はある。だが新味を欠く。執行部の求心力が陰る中、重鎮に頼ったのが実情だろう。
 党に人材が育っていないことを露呈した格好だ。それに起因して、男女の役員数をそろえるジェンダー平等も後退を余儀なくされた。
 泉健太代表は、新幹事長らの「経験」を強調する。ネクストキャビネット(次の内閣)も設け、かつて政権を担ったメンバーの経験を共有するという。経験を、論戦力や政策立案力の底上げに速やかにつなげなければいけない。
 参院選敗北の理由を「政権への提案路線」とし、対決型への転換も示唆した。だが、基本スタンスが一方に偏ることのジレンマをずっと味わってきたはずだ。批判も提案も大切だ。党として進化が求められる。
 支持母体の連合や共産党との関係は流動性が残ったままだが、当面、集中すべきは、来春の統一地方選だろう。長年の懸案でもある地方組織をてこ入れしない限り、立て直しはありえまい。
 維新は代表選で、松井一郎氏の後任に、党ナンバー2の共同代表を務めていた馬場伸幸衆院議員を選出した。
 維新は「身を切る改革」や規制改革、統治機構改革など、既成制度やしがらみにとらわれず、現実論に立った改革を訴える。大阪で訴えを具体化し、国政勢力を拡大してきた。
 先の参院選では、比例得票が立民を上回った。衆参国会議員は62人を数え、全国政党化を掲げている。
 党幹部らは「自民をピリッとさせる」「自民と対峙(たいじ)する」と繰り返す。有権者には「第三極」のイメージが強いだろう。一方、憲法改正や安全保障政策などは自民より急進的なスタンスだ。率直に、政権との距離感が分かりづらい面がある。
 本県を含め、関西以外ではなじみが薄いのも事実だ。統治機構改革や規制改革は、地方が受け入れづらい可能性もあろう。全国政党化へ、統一選で地方議員600人を目指すとする。それには、核となる旗印とより具体的なビジョンが必要だ。
 国会議員と地方議員の溝や、問題発言や不祥事の多さも指摘される。代表選でも手続きにトラブルがあった。全国政党化を掲げる以上、党のガバナンス改善を求める。
 野党の両党だが、基本スタンスの違いから対立を繰り返してきた。それが与党に利してきた面はある。可能な部分は連携し、国会論戦を活性化してもらいたい。

高知のニュース 社説

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