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2022.08.06 08:00

小社会 無言の少年

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 原爆に命を奪われたのだろう。1995年刊行の「絵で読む 広島の原爆」を開くと、国民服を着た無言の少年が各ページの絵に描かれ、広島の上空を飛んでいる。戦前と被爆時、そして戦後の町を見つめるように。

 高知市出身の絵本作家、西村繁男さんが児童文学作家、那須正幹さんとともに作った。西村さんは1年間、広島に家を借りて多くの被爆者を取材した。

 町を俯瞰(ふかん)して一人一人を細かく表現し、広島の地獄を描く。〈閃光(せんこう)は、爆心地に近い人はオレンジ色に、はなれた人には青白く見えた〉〈みんな幽霊のように手を前につき出していました。下におろすと、痛くてしようがないからです〉

 現代を描いた灯籠流しの場面で少年は広島に降り立ち、人混みに紛れていく。西村さんは巻末に、取材を通じて肉親を亡くした人に共通するものに気づいたと書く。それは「今でも亡くなった人とともに生きている」。少年にその思いを込めたという。

 「広島、長崎の記憶が薄れている」。6月、核兵器禁止条約の会議で国連事務総長が危機感を示した。ところが、その場に日本政府の代表団はいない。米国の「核の傘」の下にあって、為政者は条約は現実的ではないと背を向ける。唯一の被爆国の存在感が薄れているとも評される。

 戦後77年。世界には核兵器の使用をちらつかせる権力者すら出てきた。もっと言えることがありはしないか。無言の少年に代わって。


8月6日のこよみ。
旧暦の7月9日に当たります。かのと う 九紫 先負。
日の出は5時21分、日の入りは19時02分。
月の出は13時23分、月の入りは23時51分、月齢は8.4です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で5時50分、潮位68センチと、17時41分、潮位109センチです。
満潮は12時31分、潮位147センチと、23時45分、潮位168センチです。

8月7日のこよみ。
旧暦の7月10日に当たります。みずのえ たつ 八白 仏滅。
日の出は5時22分、日の入りは19時01分。
月の出は14時33分、月齢は9.4です。
潮は長潮で、干潮は高知港標準で7時10分、潮位60センチと、19時18分、潮位123センチです。
満潮は14時27分、潮位151センチです。

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