2024年 05月01日(水)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2022.08.05 08:34

幻の花 ムジナモ咲く 牧野植物園 白く、愛らしく、1時間余の命

SHARE

4日開花した希少種、ムジナモの花(高知市の県立牧野植物園)

4日開花した希少種、ムジナモの花(高知市の県立牧野植物園)


 目を凝らさないと気付かないほど小さく、希少な食虫植物「ムジナモ」の白い花が、高知市五台山の県立牧野植物園で開花した。開花の条件がまだよく分かっておらず、栽培も難しい“幻の花”。愛らしい姿をわずか1時間余り見せた後、そっと花を閉じた。

 ムジナモは根がなく、湖や沼を浮遊して二枚貝に似た葉でミジンコなどを捕まえる。真昼の数時間だけしか開花しない一日花。現在、国内の自生はほぼなく、埼玉県で自生地復元の試みが続いている。

 日本で初めて発見した牧野富太郎博士とのゆかりは深い。1890年、牧野博士が東京都の江戸川で見つけ、和名を付けた。当時の定説では「花が咲かない」とされていたが、発見の翌年に開花を確認。手掛けた写生図は、世界的に権威ある植物分類書に転載され、牧野博士の名を広く知らしめた。

 4日、同園温室で正午過ぎから開花し始めた花はわずか数ミリ。もこもこと密集した葉の先から茎を伸ばし、ぴょこんと水面に顔を出していた。

 来場者らは「こんな貴重なものが見られるなんて」「すごく小さい」と感嘆し、苦労しながら小さな花をカメラに収めていた。

 温室で展示中のムジナモには、つぼみがほかに三つ付いており、同園温室管理班長の丹羽誠一さん(51)は「つぼみが付くのも珍しい植物。咲かない可能性もあるが、もしかすると数日中に咲く様子が見られるかもしれない」と話している。(森田千尋)

高知のニュース 高知市 自然・植物 牧野富太郎

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月