2022.07.23 08:00
【高校総体開幕】次代に財産残る大会に
高校スポーツ最大の祭典が高知県で開かれるのは24年ぶりだ。新型コロナウイルス「第7波」と重なったが、この大会に向けて大勢の高校生が練習を重ね、開催地も受け入れ準備に励んできた。感染対策に万全を期して、さまざまな財産が残る大会にしてほしい。
大会は8月23日までの約1カ月の間に全30競技が行われ、選手約2万8千人が参加する。県内では水泳、ソフトボール、相撲、剣道、レスリングなど8競技が開かれ、選手計6千人余りが集う。
スローガンは「燃え上がれ 我らの闘志 四国の大地へ」。各競技とも選手が力を存分に発揮し、スローガンにふさわしい熱戦を繰り広げることを期待する。
インターハイは一昨年、新型コロナの影響で中止になっている。それを考えれば、開催すること自体に意義を見いだせよう。出場できなかった選手も含めて、「四国」を目指してきたプロセスはかけがえのない経験になっているはずだ。
昨年は開催できたものの、全ての競技で無観客を余儀なくされた。今回も屋内競技を中心に観戦の制約はある。それでも一歩、平年の形に近づいた。
県内のスポーツ関係者には、全国トップレベルの戦いをじかに体感できる機会になる。総じて競技レベルが高いといえない中、刺激になるに違いない。競技力向上や裾野の拡大などにつなげていきたい。
観戦可能な競技に限られるが、地元選手は、家族や大勢の仲間の応援の下で全国大会に挑めるチャンスになる。それが好成績につながるかもしれない。
24年前の地元開催の際、男子テニス・シングルスで土佐塾3年の宮崎雅俊選手が、県勢として65年ぶりに優勝した。第6シードから勝ち進んだ決勝戦。春野コートには千人超の観衆が集まり、勝利の瞬間、会場は歓喜と感動に包まれた。その記録と記憶は今も語り継がれる。県内スポーツ史に残る場面が一つでも多く生まれるよう、願ってやまない。
大会を盛り上げようと、選手以外の高校生による推進組織も発足し、街頭や各校でのPR活動などに取り組んできた。
期間中は、県内26校の生徒計2100人余りが補助員などのスタッフとして運営を支える。本紙紙面でもそんな裏方を連日取り上げてきた。それぞれ、緊張感のある大きなイベントにかかわることで、何かしら得られるものはあるはずだ。
本県には選手6千人余りのほか、監督やコーチ、選手の保護者らも大勢訪れる。コロナ流行下にあって「活発に交流を」と勧めにくい状況だが、できる範囲で高知らしいもてなしも心掛けたい。
訪れた人たちに印象深い思い出が刻まれれば、その縁は、スポーツのみならず、これからの高知の財産となる。