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2022.07.16 08:00

【コロナ「第7波」】医療の懸念には早期対応を

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 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、「第7波」の様相を呈している。15日の全国の新規感染者は10万人を超えた。県内でも4日連続で300人を超え、新規感染の発生はこれまでにないペースだ。
 対策で優先すべきは、やはり命と健康を守ることだ。その上で、勢いが戻りつつある経済活動にも配慮する必要がある。これからは、人の移動機会が増える夏休みシーズンに入る。感染拡大防止と社会経済活動のバランスが、より問われてくる。
 政府と自治体には、「第6波」までの経験で得た教訓や知見を生かして、局面に応じた適切な対応ができるよう求める。課題だった国民への発信力も意識してもらいたい。
 今回の感染拡大は、広がりやすいとされるオミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりが進んでいることが一因とされる。これまで主流の「BA・2」の約1・3倍の感染力があるとされ、8月にはほぼ置き換わる見通しだという。
 ワクチン接種から時間が経過し、予防効果が落ちていることも影響しているとされる。専門家らによる7月下旬から8月の感染者数の見通しは、かなり厳しい。
 一方、オミクロン株は軽症者が多く、感染者数とコロナ病床の占有率の関係は、以前と異なってきている。このような傾向を踏まえて対策を講じていく必要がある。
 政府は第7波の対策として、4回目のワクチン接種を全ての医療従事者や高齢者施設職員に拡大することや、3回目のワクチン接種率が低い若い世代への接種促進、主要駅や空港などへの臨時無料検査拠点の整備などを打ち出した。
 感染拡大で最も懸念されるのは、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)することだ。重症化率の低いオミクロン株だが、重症化リスクの高い高齢者の感染が増えれば医療は逼迫する。感染者数を抑えこむ重要性は変わらず、対策の速やかな実行を求めたい。
 政府は現時点では、新たな行動制限は行わない考えだ。ただ、医療逼迫の兆しがあれば、早めに手を打つことをためらうべきではない。対策を講じる上で、第6波後に設置された新型コロナ対策を検証する有識者会議で、まん延防止等重点措置などの効果がきちんと検証されなかったことは残念だった。
 岸田文雄首相は、「内閣感染症危機管理庁」創設など感染症対策を一元的に担う司令塔機能の強化を目指している。第7波に際しての情報収集や分析、指揮命令業務などは新組織もイメージしながら進め、次につなげていくべきだ。
 高知県の第7波対応は、政府のスタンスに準じている。県は、若者への3回目接種の推進などに取り組むとともに、県民向けに基本的な感染予防策の励行を呼び掛けている。
 第6波以降、感染が落ち着き、「コロナ慣れ」もあって、県民にも警戒心が緩んでいる部分があるかもしれない。個人レベルでも基本的な対策を心掛けたい。炎暑で冷房が欠かせない中、換気も大切だ。

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