2024年 05月06日(月)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2017.03.04 05:00

維新博PRに漫画キャラ 坂本龍馬、乙女、中岡慎太郎、山内容堂…村上作品から〝出演交渉〟を―なんのこっちゃ総合研究所 高知の幸せ探しシンクタンク 所長・ 黒笹慈幾(12)

SHARE

「村上もとか原画展」のポスター

「村上もとか原画展」のポスター

 高知市文化プラザ「かるぽーと」で2月11日から始まった『村上もとか原画展~幕末を辿る、漫画「JIN―仁―」の世界~』(3月12日まで)を見てきた。村上さんは昭和26年、東京・世田谷の生まれ。昭和25年東京生まれの黒ちゃんと同じ時代に生き、同じ空気を吸ってきた人なのでなんとなく親近感がある。

 直接担当をしたことはないが、元漫画編集者として村上さんを表現するとすれば、「第1世代、4番打者の手塚治虫や白土三平、さいとう・たかを(敬称略でスミマセン)などのすぐ後ろ、5番を任せられる第2世代の好打者」といった感じであろうか。

 同世代には『課長島耕作』や『黄昏流星群』のヒットがある弘兼憲史などがいる。じつはいま、漫画の世界ではこの第2世代の漫画家たちが現役で4番を打っているのだ。
  村上さんは少年向け、成年向けどちらのジャンルでも本格作品を描ける数少ないスイッチヒッターのひとり。歴代のヒット作品を挙げてみるとよく分かる。

 『六三四(むさし)の剣』、『赤いペガサス』(ともに少年サンデー)、『岳人列伝』(少年ビッグコミック)、『龍―RON―』(ビッグコミックオリジナル)、『JIN―仁―』(スーパージャンプ)など、幅広い年代に向けた長期連載作品がずらり並ぶ。

 原画展が開催されている横山隆一記念まんが館の特設コーナーには、『JIN―仁―』を中心に原画140点が展示されていた。この企画を担当した高知県まんが・コンテンツ課の近森雄太さんによると「幕末維新を漫画で語る」というコンセプトで、51人の歴史上の人物たちが描かれた原画を選別・展示しているという。

『JIN―仁―』の魅力的な登場人物
 『JIN―仁―』のストーリーを簡単に紹介しておこう。主人公の南方仁(みなかた・じん)は東都大学附属病院に勤務する34歳の優秀な脳外科医。ある日、救急搬送されてきた男性患者の脳の手術をしているときに事件が起き、文久2年(1862年)の江戸にタイムスリップして帰れなくなる。大政奉還までわずか5年という騒然とした時代に、仁は未来からやって来た謎の医師として生きることになる。

 あらためてジャンプコミックス全20巻を再読してみると、ストーリーの巧みさにグイグイ引き込まれる。幕末から維新にかけての歴史もしっかりと描かれており、立派な歴史読み物だ。しかも漫画に登場する51人はどれも魅力的な人物ばかり。

 坂本龍馬は当然として、勝海舟、中岡慎太郎、西郷隆盛、高杉晋作、沖田総司をはじめとする幕末の志士、歴史の教科書でしかその名を知らない緒方洪庵、松本良順、伊東玄朴などの医師たちも濃密にストーリーに絡んでくる。江戸の庶民もいい。とくに仁が居候する橘家の娘・咲、坂本龍馬お気に入りの花魁(おいらん)・野風などは黒ちゃんの好みのタイプだ(カンケイないか)。

 さて、ここからが本題である。JINの描く幕末維新の世界にどっぷりと浸かりながら、黒ちゃんは3月4日、本日開幕の「志国高知 幕末維新博(以下維新博と略す)」のことを思ったのである。

 「維新博」は大政奉還とそれに続く明治維新150年を記念して高知城歴史博物館のオープンを皮切りに今後2年間高知県全域への観光集客を狙う大プロジェクトで、総予算は6億円を超える(2月15日高知新聞夕刊)。

 黒ちゃんは「志国高知幕末維新博推進協議会・運営委員会」(長くてスミマセン)に所属して準備の会合を重ねてきた。そこでたびたび「歴史だけで人を呼ぶのは難しい」「一般観光客の好奇心スイッチをONにする優秀なナビゲーター(案内人)が必要」「プロモーションに親しみやすいキャラクターを起用すべし」としつこく(笑い)発言してきたのだが、なかなか理解されなかった。

まんが王国の“資産”活かせ
 そこで「なん総研」からの提案である。原画展でズラリ勢揃いした51人の幕末キャラクターたちに「維新博」の案内役を任せることはできないだろうか。51人全員はさすがに多すぎるから、主役の南方仁と橘咲、花魁の野風、高知家からは坂本龍馬、権平、乙女、お龍、中岡慎太郎、山内容堂さんあたりに出演交渉すればいいだろう。

 もし、村上さんが描く華やかで魅力的なキャラクターたちが「維新博」に助っ人として加わり、新聞・テレビ・雑誌やインターネット、チラシなどで「志国高知幕末維新博に来てみいや」(慣れない土佐弁デス)とキャンペーンを張れば…、大政奉還150年目の土佐藩、じゃなかった高知の観光シーンに確実に何かが起きる。

 現代はそれがどんなに素晴らしいモノ・コトであっても、情報となって外に拡散しないと何ごとも起きない。トランプさんじゃないけれど情報戦に成功したものだけが勝者になれる時代なんである。

 だからこそ漫画のキャラクターという分かりやすくてきわめて優秀な情報伝達手段を活用・駆使して、高知の幕末維新歴史遺産をアピールすべきだと思う。

 もうひとつ、1週間後の3月11、12日には「第3回全国漫画家大会議」が開催される。村上もとかさんをはじめ30名近いプロの漫画家が高知に集結するとんでもない大イベントである。さらにこの会議、黒ちゃん好みの橘咲や花魁の野風もやってくるという噂もある(これはウソです!)。

 「まんが王国・土佐」を標榜(ひょうぼう)し、「まんが甲子園」、「まんさい」、「漫画家大会議」の3大まんがイベントを通じて漫画文化の普及・啓発・顕彰にまじめに取り組み、一流漫画家とのコネクションも太い高知県ならではの、まんが資産の活(い)かし方があるはず。観光とまんが、県庁内の担当部局の垣根を越えた取り組みの絶好の機会だと思うのだが……(オセッカイですかね)。(高知大学特任教授、元編集者)

この記事の続きをご覧になるには登録もしくはログインが必要です。

高知のニュース まんが なんのこっちゃ総合研究所

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月