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2022.06.28 08:35

高知・柏島の青い海に、かつての名物テングサ再生を 海底岩場に種付着試験 大月町・黒潮実感センター

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海底の岩に沿うように設置されたテングサの袋(大月町柏島沖=黒潮実感センター提供)

海底の岩に沿うように設置されたテングサの袋(大月町柏島沖=黒潮実感センター提供)

 ところてんの原料となる海藻、テングサの藻場を再生しようと、高知県幡多郡大月町柏島でNPO法人黒潮実感センターが試験に取り組んでいる。かつて、県内漁獲量の3割を占めたこともある柏島産だが、近年は藻場が失われ収量が激減。同センターは海底の岩に種を付けることで、繁殖を試みている。

ところてんの原料になるテングサ

ところてんの原料になるテングサ

 県水産試験場に記録が残る柏島の収量は、1993年度に48トン(県全体の約18%)。92年度は約24トンで県全体の約35%を占めていた。ただここ10年ほどはほとんど採れなくなっているという。

 同センターの神田優センター長(55)は「台風で流されたり、磯焼けで繁殖する環境が失われたりしたのではないか」と指摘。「テングサはナガレコ(トコブシ)の餌にもなり、藻場の再生は海の生態系にとってもプラスになる」と試験の意義を強調する。

 同センターは今年採れたテングサを地元漁師から譲り受け、試験に活用。テングサ約100グラムと発泡スチロールを目の粗い袋に詰め海中へ。重りの石と袋は1・5メートルほどのロープでつないでおり、テングサは海中に浮かぶ形で種を放出する。

 水深2~3メートルにある岩の側面に付着させて繁殖させるため、6月上旬から複数回海に潜り、袋の位置を調整。柏島南側の前の浜沖30メートルほど、約千平方メートルに26個を設置した。

 柏島で40年以上ところてんを作り続けている食堂「お好み きみ」の島本きみさん(73)もテングサ再生を心待ちにする一人。近年は保存してある柏島産に室戸産を加えて作っていたそうで、「また採れるようになってほしい。それまでは今年採れたものを大切に使っていきたい」と話す。

 試験が順調に進めば、来春には一定の成果が分かるといい、神田センター長は「成功すれば、範囲を広げていきたい」と力を込めた。(坂本 出)

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