2022.06.23 08:35
四万十市唯一の公設相撲場、解体へ...仮校舎用地に 競技団体「少年のため再建を」
解体が迫る安並運動公園相撲場。このほど最後の少年相撲大会が開かれた(四万十市安並)
同相撲場は1989年、高校総体の本県開催を記念して県と旧中村市が建設。92年以降は毎年、同支部主催の「県少年相撲四万十大会」が開かれ、県内の少年相撲クラブが鍛錬の成果を競っている。大相撲で活躍した元豊ノ島や元土佐豊、元栃煌山らも少年時代にここで汗を流した。
ただ、屋外にあって虫やヘビが出るなど日常練習では使いにくく、近年は同大会の他に使用実績はない。
市は相撲場から約1・6キロ南東にある東山小学校(同市佐岡、314人)の校舎建て替えに当たり、仮校舎の用地を選定。同校敷地内での仮校舎建設は難しく、建て替え工事中は同運動公園の施設を体育の授業で使うことから、相撲場を適地と判断したという。
土俵は7月ごろから解体。造成した後2025年夏ごろまで仮校舎用地として使用されるが、その後の跡地利用は未定だ。同支部はこの間、別会場でマットレスの土俵を使って同大会を続けるという。
今月5日には相撲場で最後となる同大会が開かれ、県内の少年力士約40人がしのぎを削った。元豊ノ島の宿毛高校時代の恩師で、大会運営に携わる同連盟の森下文夫副会長(62)は「四万十市で大会を開ける唯一の施設。相撲に取り組む子どもたちのためにも再建してほしい」と訴える。
5月下旬には、同支部と市スポーツ協会が市長と教育長、市議会議長に宛てた要望書をそれぞれ提出。大会に加え日常練習も行える施設整備を求めている。
取材に対し、中平正宏市長は「再建するかどうかは決まっていないが、幡多、中村から相撲の灯を消してはいけないと考えている。関係者と協議していきたい」としている。(芝野祐輔)