2022.06.10 08:34
自然に囲まれ伸び伸び…高知県の本川中、山村留学20年 地域も応援
生徒がいれば部活動もできる。バドミントン部の練習で顧問の話を聞く本川中学校の生徒(いの町長沢の同校)
同校は1975年、旧土佐郡本川村の4中学校が統合して誕生。その後生徒数は減り続け、2002年に村教委が山村留学を導入した。
初年度は県内外の10人が入学。以降も毎年6~17人の留学生が学び、本年度は全校18人中12人を占める。寄宿舎「みどり寮」には地元の生徒も週3回宿泊し、仲間同士で絆を深め合っている。
3年の西透稀(とうき)さん(14)は北海道千歳市出身。1500人超の児童がいた小学校の雰囲気が嫌で「(大好きな)坂本龍馬が生まれた高知の小規模校で学びたい」と本川中へ。「生徒数が少ない分、自分の個性が出せる」と明るい表情を見せる。
3年生8人で唯一の地元生、近沢清二さん(14)も「留学生がいなかったら僕一人。けんかもするけど、人間関係を学ぶ上ではいい環境」と笑った。
地域との交流も深い。郷土芸能「花取り踊り」を住民に教わるほか、アメゴ釣りや夏の氷室まつり、秋の地区民運動会といった催しにも参加する。
地域で催された行事、アメゴ釣りでは、住民が生徒に手ほどきする(同町桑瀬)
そんな住民に、生徒会長の3年、湊竜空(りく)さん(14)は「イベントがあれば必ず地域の人が手伝ってくれ、いろいろと優しく教えてくれる。すごく支えられていると感じる」と感謝する。
地元の子どもが少ない状況が続く中、留学生の確保が今後も課題。山下浩彦校長(62)は「仲間づくり、学力向上、自尊感情を育む教育に力を入れている。お世話になっている本川の方々のため、学校存続に一層努力したい」と話している。(谷川剛章)