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2022.06.04 08:00

小社会 「優等生」

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 黒沢明監督の映画「酔いどれ天使」の中で、主人公の医師・志村喬さんが、戦後の闇市で鶏卵を買う場面がある。結核にかかったやくざ者の三船敏郎さんに、栄養をつけさせてやろうというのだ。

 医師もかなりの反骨の人だが、ふと見せる優しさにジンときた。同時に注意を引いたのが、貼り紙に書かれた卵の値段。「うみたて玉子 一つ十八円」。現在とほぼ同じだ。

 もっともこの値段は、現在の価格で約10倍もした可能性もあるらしい。それでも鶏舎の大型化や機械化などを進めた結果、この30年ほど卵の値段はほぼ安定している。鶏たちがあの狭いケージの中で暮らすのは忍びないが…。

 文学の世界では県出身の作家、大原富枝さんに「鶏卵」と題する戦前の話がある。大原さんもやはり結核を患い、吉野川沿いにある実家で療養していた。家では鶏とヤギを1頭、農家に頼んで飼うことになった。「ヤギの乳と鶏卵が家にあるということは、この山村では病人を抱えた家の必須条件だった」。

 やはりこの栄養価の高さが相まってこそ、「物価の優等生」と称されるのだろう。最近は「卵かけご飯」をイニシャルで「TKG」と呼んで、ブームのようになっている。都市部では鶏を放し飼いにするなどで、高価なブランド卵も売れ行き好調とか。

 食品を値上げするという記事が、連日紙面に載る。静かな抵抗の意味で、あえて「優等生」を持ち出してみた。


6月4日のこよみ。
旧暦の5月6日に当たります。つちのえ ね 一白 仏滅。
日の出は4時56分、日の入りは19時12分。
月の出は8時32分、月の入りは23時11分、月齢は4.6です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で2時19分、潮位101センチと、14時49分、潮位30センチです。
満潮は7時45分、潮位160センチと、21時42分、潮位155センチです。

6月5日のこよみ。
旧暦の5月7日に当たります。つちのと うし 二黒 大安。
日の出は4時56分、日の入りは19時13分。
月の出は9時30分、月の入りは23時46分、月齢は5.6です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時01分、潮位104センチと、15時31分、潮位39センチです。
満潮は8時24分、潮位152センチと、22時30分、潮位151センチです。

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