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2022.06.01 08:40

旅人誘う四万十の風車 野中サイクル(四万十市)―フォっトけないす

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自作の風車に囲まれた野中治夫さん。旅人が訪れる観光スポットになっている(写真はいずれも四万十市若藤)

自作の風車に囲まれた野中治夫さん。旅人が訪れる観光スポットになっている(写真はいずれも四万十市若藤)


 四万十市中心部から西土佐方面へ車を走らせること約10分。若藤地区の国道441号沿いで、たくさんの色鮮やかな風車がカラカラと回っている。四万十川を目指す多くの旅人が足を止めるというその場所は―。

 「自転車屋ですが、〝はるちゃんの風車〟と呼ばれる隠れた観光地なんです」

 柔らかな口調で語るのは、自転車修理業「野中サイクル」の野中治夫さん(75)。店舗前に自作の風車約150個を飾り付けている。

ペットボトルにペンキを塗って風車を作る

ペットボトルにペンキを塗って風車を作る

 ペットボトルをカッターナイフで切って羽根を切り出し、ペンキを塗ったり、テープを巻いたりして色づけ。中心に針金を通せば風車の完成だ。約30年前、仕事中に飲んでいたペットボトルの形から作製を思い立った。

 風車を畑に立てれば回転時の振動が地中に伝わってモグラよけになる―。当時はそんな口コミが農家の間で広がり、数百円で売れたそう。15年ほど前から「金もうけより見た人に楽しんでもらおう」と店前に飾りだし、やがて観光客が立ち寄るようになった。

 「車や自転車で1回通り過ぎた後、気になって戻って来る人もおる」と野中さん。訪れた人々と四万十川や旅について語らうことが「生きがい」になった。〈とても個性的なお店。楽しい旅の思い出になりました〉などと、後日礼状が届くこともある。

雑貨も販売している店内。アルバムには立ち寄った観光客の姿を収めている

雑貨も販売している店内。アルバムには立ち寄った観光客の姿を収めている

 これまでに32都道府県、世界14カ国の旅人と交流した野中さんは「外国人にも身ぶり手ぶりで伝わります」。「宝物」だと言う厚いアルバム3冊に、風車と記念撮影した旅人らの笑顔が満載だ。

 野中さんは10~20代に自転車で四国や九州を巡った。高齢でもう旅には出られなくなったが「風車がここへ旅人を連れてきてくれる。彼らと話して元気をもらうんです」。

国道沿いで目を引く野中サイクル

国道沿いで目を引く野中サイクル

 今日も風車とともに、胸を吹き抜けていく風を待っている。(幡多支社・芝野祐輔)





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