遠山地区に立つ「ようこそ牧野富太郎も歩いた遠山へ」の案内板(四万十町数神)
高岡郡四万十町で、町内に多数残る牧野富太郎博士ゆかりの地を巡るツアーや植物観察会などの開催機運が高まっている。博士がモデルのNHK連続テレビ小説「らんまん」が来春から放映されるのを前に、関係者は本年度中にも新たな催しをと構想中だ。
博士は現東京大学の植物学教室に出入りを許された21、22歳ごろを中心に、同町影野や仁井田、窪川などの希少植物自生地などで研究したとされる。
牧野博士が宿泊した朝霧旅館の客間。明治期の風合いが残る(同町仁井田)
その際に宿泊した記録が残っているのが、同町仁井田で1800年前後から1975年ごろまで営業した朝霧旅館(旧称・旅籠(はたご)寿美屋)。老朽化で保存の手だてが必要な状態だが、明治期の風合いを残しており、近隣の散策ツアー客らが通る際には開放され室内を見学できる。
旅館の1階には、博士の植物最終地などを紹介したパネルも(同町仁井田)
博士は、多くの希少植物が自生する同町数神(かずこう)の遠山地区も訪れたとみられ、地区の入り口には案内板が立つ。同町松葉川地区には、博士が好んだバイカオウレンが山道約100メートルにわたって自生する県内有数の群生地も。毎年2~3月ごろには、かれんな花が長い小道に続く美しい光景が広がる。
山道に花を咲かせたバイカオウレン(3月、同町松葉川地区)
町観光協会などは、ドラマ化を機に観光振興と自然保護との両立につなげたい考え。同協会は「町の豊かな自然を知ってもらう好機。県や県立牧野植物園と連携し、さまざまな催しを考えたい」と話している。(小林司)