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2022.05.07 08:40

音十愛さんと〝二人三脚〟 高知県佐川小教員が音楽療法士に

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音楽に合わせ体を動かす山崎音十愛さんと、サポートする竹島尚子さん(高知市万々)

音楽に合わせ体を動かす山崎音十愛さんと、サポートする竹島尚子さん(高知市万々)

「障害のある子に笑顔を」
 佐川小学校(高岡郡佐川町乙)の音楽教員、竹島尚子さん(55)が今春、音楽で心身の障害の回復などを図る「音楽療法士」の資格を取得した。新型コロナウイルス下で実習の受け入れ先が見つからない中、全盲で知的・身体障害のある山崎音十愛(おとめ)さん(17)=県立盲学校高等部3年=が協力。〝二人三脚〟で合格にこぎつけた。竹島さんは「音十愛さんのおかげで資格を取ることができた。障害のある子どもたちが、よりよく生きる手伝いをしたい」と意気込んでいる。

 音楽療法は障害者や認知症高齢者らを対象に行われる。日本音楽療法学会認定の療法士は3月時点で県内に17人おり、医療機関や福祉施設などで活動している。

 竹島さんは音楽を使った社会貢献に携わろうと、2018年から同学会の講習を受講し始めた。

 そんなさなか、コロナが拡大。資格取得には実習を踏まえた実例報告のリポート提出が必要だったが、県内では実習を受け入れてくれる病院や施設が見つからず、学びは1年ほど中断した。

 「このままじゃ資格は無理かな」と途方に暮れていたころ、音十愛さんの母親で、旧知の理恵さん(55)と再会。音十愛さんが音楽好きと知り、協力を依頼した。

 実習は音十愛さんとボランティアスタッフが竹島さんの高知市の自宅を週1回訪問し、4カ月間行った。

 竹島さんは、音楽を楽しみながら音十愛さんのコミュニケーション能力を向上させることを意識。歌詞に出てくる物や楽器を触って言葉の意味を学ばせたり、座ったバランスボールの上で音楽に合わせて弾んだりするなど、さまざまな感覚にアプローチした。

 音十愛さんは活動中、笑顔で歌いながら手拍子するなど全身で楽しさを表現。お気に入りの曲を「もう1回」とリクエストするなど、自発的な発語も多く見られた。

 母親の理恵さんは「心地よい音楽が体に入ると表情が豊かになって、心の成長につながる。筋肉が緩んで体が動くことで身体機能も伸びるんじゃないか」と期待する。

 3月に無事合格した竹島さんは「資格は取れたが生かせる場所が少ない」と嘆きつつ、「音十愛さんと出会えたことで音楽の力を改めて感じている。音楽で障害のある子の笑顔を増やしていきたい」と話している。(石丸静香)

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