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2022.04.30 08:35

トンボが示す水質悪化「オオイトトンボ」風前のともしび 日高村でも激減―四万十川は今

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四万十流域の休耕田で水中産卵するオオイトトンボ。県内各地で当たり前に見られた光景(1984年、杉村光俊さん撮影)

四万十流域の休耕田で水中産卵するオオイトトンボ。県内各地で当たり前に見られた光景(1984年、杉村光俊さん撮影)


 県内わずか3カ所での生息が知られるオオイトトンボは、四万十流域では「トンボ自然公園」(四万十市具同)を除けば姿を消し、回復の兆しが見えない。高岡郡日高村の2カ所の池では今月下旬、激減が確認された。高山から低地まで広範に見られた種だけに、研究者は「水辺環境の悪化を象徴している」と警鐘を鳴らす。

 「トンボと自然を考える会」(四万十市)常務理事の杉村光俊さん(67)によるとオオイトトンボは海水混じりの河口周辺まで幅広い環境に適応する。ただし水質悪化に弱く、1990年代から急減した。

 2016年以降、杉村さんが確認できたのは日高村の二つの洪水調整池(日下川、戸梶川)と、同公園(四万十市)の3カ所のみ。

四万十市とともに最後の生息地となった日高村。手前の小さなビオトープでは健在だが、奥の日下川調整池では激減した(同村本郷)

四万十市とともに最後の生息地となった日高村。手前の小さなビオトープでは健在だが、奥の日下川調整池では激減した(同村本郷)

 杉村さんが今月22日、日高村の二つの池を訪れたところ、いずれも明らかな減少を確認した。

 杉村さんは「温暖化に伴う渇水傾向などで、水中の栄養分が過度に濃縮されたのではないか。このままではいなくなる公算が大きい」とみる。

 繁茂する水生植物を適度に除去するか、今後の大水で底の泥などが流出すれば、改善の可能性があるという。

 ただ前述の日下川調整池に隣接して整備された小さな池(ビオトープ)では、複数のペアが盛んに産卵する姿が見られた。

 同村の藤田浩副村長(62)は「村内絶滅」回避のため、まずはこのビオトープの環境の維持・改善を図りたい考えだ。

 四万十市の自然公園では水質維持のため毎年手入れを行っており、安定的に繁殖している。四万十流域の他地点では15年、同市津蔵渕での確認が最後となった。

 オオイトトンボは県レッドデータブック(18年)で「絶滅の危機に瀕(ひん)している」とされたトンボ4種の一つ。

 杉村さんは「本来、見掛けないのがおかしいトンボ。われわれが把握できていない生息地があるかもしれず、見掛けたら連絡を」と呼び掛けている。連絡は同会(0880・37・4110)へ。(福田仁)

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