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2022.04.23 08:36

花めぐる名作の世界観 高知県立文学館で企画展 「秘密の花園」初期本など150点を展示

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花のアートと世界の文学作品が並ぶ企画展(高知市の県立文学館)

花のアートと世界の文学作品が並ぶ企画展(高知市の県立文学館)


 県立文学館(高知市丸ノ内1丁目)の企画展「花を愛する人の物語」が開かれている。イギリス文学の名作小説「秘密の花園」の初期の版本や大正時代に翻訳された日本版など、書籍類を中心に約150点を展示。作品に登場する花々に焦点を当て、視覚的に作品の世界観が感じられる展示となっている。6月12日まで。

 1911年に出版された「秘密の花園」は、コレラで両親を亡くした主人公の少女メアリが、預けられた叔父の屋敷で見つけた庭園を、友人たちと花々を育て再生させていく物語。作者のバーネットが、数多くのバラを育てて庭園を再生させた実体験が基になっている。

 サクラソウやスノードロップを色鮮やかに描いた19世紀の植物画30点は、「秘密の花園」の舞台となったイギリスで見られた花々に触れられる貴重な資料。作中で「はなやかな色をまきちらかしている」と表現されたポピーなど、作中の花の群生を造花で再現したジオラマもある。

 また、会場中央には、花々が描写された世界の文学作品とともに、作品に登場する花をかたどったペーパーフラワーアートが並ぶ。

 アイリスの芽吹きと自身の境遇を重ね、「苦しみの果てに/扉があった」と詠んだノーベル賞詩人グリュックの詩集「野生のアイリス」、「かぐわしい花が泡のように広がっていた」とライラックの花を表現したプルーストの長編小説「失われた時を求めて」などが紹介されている。

 岡本美和学芸員は、「文学では人を形容したり、国のイメージを表現したりするのにも花が用いられる。花を通して世界の文学作品に触れてほしい」と呼び掛けている。(楠瀬慶太)

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