2022.04.15 08:35
村長室でお茶しません?カフェに旧庁舎再現、レトロな別世界(日高村)―フォっトけないす
おしゃれなカフェの一角に再現された〝村長室〟。年季の入った応接セットや黒板が異彩を放っている(写真はいずれも日高村下分の「Eat&Stay とまとと」)
革張りのソファに黒板、懐かしの黒電話―。おしゃれなカフェの一角は、そこだけが違う世界のようだ。高岡郡日高村下分のゲストハウス兼カフェ「Eat&Stay とまとと」に、今は取り壊された村役場旧庁舎の村長室が再現されている。ここに座れば、あなたも村長気分?
懐かしの黒電話と実際に使われていた部屋プレート。「村長室」以外の使い道は未定
2017年、村の地域おこし協力隊員として赴任した小野さんは、1966年築の旧庁舎に入って衝撃を受けた。低い天井、そこから無数にぶら下がるむき出しの配線。年季が入った木製のドアやげた箱…。さび付いたロッカーもそのまま使われていた。
「これって本当に戦後の建物?って。ディズニーランドよりびっくりした」
古びてごちゃごちゃした建物は、都会育ちの小野さんには魅力的だった。「県外の友達が遊びに来たら、観光名所みたいに案内してた」。そんな大好きな旧庁舎は、昨年11月に業務開始した新庁舎建設に伴って取り壊されることに。いてもたってもいられなくなった小野さんがひらめいたのが、カフェでの村長室再現だった。
日高村役場旧庁舎の村長室(小野加央里さん提供)
その表れが、カフェの村長室に置いた写真ファイル。旧庁舎内の写真を集め、往時の姿を伝えている。「都会っぽいおしゃれな建物もいいけど、全部が画一的になると面白くない」。村長室の再現は、時代へのささやかな抵抗かもしれない。
この席で、おしゃれなランチを楽しむことも可能。小野さんは「タイムスリップした気分で、ご飯を食べに来てください」と話している。(楠瀬健太)