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2022.04.11 08:00

【温暖化対策】削減行動をより力強く

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 地球温暖化対策は待ったなしだ。これまでも言われてきたことではあるが、科学的な知見が改めて気候変動緩和策の加速を求めている。
 気温上昇の幅を産業革命前と比べて1・5度に抑えるためには、世界の温室効果ガス排出量を2025年より前に減少に転じさせる必要がある。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書は、厳しい実情を訴えている。
 IPCCはこれまでに、気候変動は人間の活動が影響していることに「疑う余地がない」と断言した。熱波や大雨など極端な自然現象の頻度が増え、自然と人間に広範囲な悪影響と損失、損害を与えていると分析した。また気温上昇が1・5度と2度では、悪影響の度合いに明確な違いがあると警告している。
 影響の軽減へ人為的な温室ガス排出量を削減しなければならないが、報告書は19年までの10年は増加し続けたと指摘する。政策強化がなければ、排出量は25年以降も増加し、今世紀末までに3・2度の温暖化をもたらすと警告する。
 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は昨年11月、1・5度に抑える努力を追求することに合意している。しかし、各国がこれまでに提出した温室ガスの排出削減目標は、全てが実行されても30年の排出量は増え、今世紀半ばごろの実質ゼロは見通せない状況だ。
 平均気温は既に1度以上の上昇が指摘される。余裕はない。報告書は、全ての部門で急速かつ大幅な排出削減が必要と主張し、化石燃料使用の大幅削減や低排出エネルギー源の導入などを訴える。報告書が求める大規模転換へ誘導するよう、積極的な取り組みが求められる。
 日本は30年度の温室ガス排出量を13年度比で46%減、50年に実質ゼロにする方針を掲げている。20年度の排出量は7年連続で減少した。だが、二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭火力発電所の利用は課題として残ったままだ。
 また、新興国の排出量は経済成長などを背景に増加傾向にある。実効性のある対策を実行できるよう、各国の連携と支援が重要となる。
 大幅な排出削減には、世界の排出の3分の1を占めるエネルギー部門での対応が不可欠で、化石燃料の削減や省エネルギーを進展させることが必要になる。ロシアのウクライナ侵攻はエネルギー需給を変動させている。それが温暖化抑制への意識を後退させないよう注意が必要だ。
 消費者には、徒歩や自転車での移動や電気自動車(EV)の利用など、行動面の変化が期待されている。社会経済活動の大幅なシステム変更は簡単ではないが、求められていることもまた間違いない。できることから取り組むことが大切だ。
 気温上昇を1・5度付近に抑えれば損失や損害は低減が期待できるが、全てをなくすことはできない。排出削減と同時に減災対策もまた重要になる。日々の行動が大規模な自然災害につながりかねないことを自覚しながら対策を重ねたい。

高知のニュース 社説

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