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2022.03.24 08:00

【露軍侵攻1カ月】停戦への圧力をさらに

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 ロシア軍がウクライナに侵攻して1カ月になる。病院や避難所など市民への無差別攻撃もあり、子どもを含む死傷者が増え続けている。攻撃は原発にも及んだ。市街戦や都市の孤立で、人道状況の一段の悪化が懸念される。
 主権国家を武力で踏みにじり、国際秩序をゆるがせることは許されない。戦闘の長期化は民間人犠牲者を拡大させる。国際社会は緊密に結束してロシアへの制裁を強め、早期の停戦へ圧力を高めることが不可欠となっている。
 ウクライナのゼレンスキー大統領がきのう、オンラインで国会演説した。日本の支援に感謝を表明し、経済制裁の継続を要請した。
 また、国境と将来を守る努力を訴え、復興や古里に帰ることも考えていかなければならないと、戦争終結後にも思いを向けた。
 しかし、現状は街が破壊され、殺された人を葬ることさえできないと惨状を語っている。国際機関を機能不全から立ち直らせる必要性にも言及した。日本に何ができ、どう関与していくのか、国会で議論を深めることが必要だ。
 日本はこれまでに防弾チョッキやヘルメットなどを提供した。これに際し、防衛装備品輸出ルールの運用指針を改定している。国際社会と連携した、できうる限りの支援が求められる。ただ、こうした流れに便乗して、提供先や装備の種類が際限なく広がるようでは危うい。政府はその可能性を否定したことを忘れてはならない。
 避難民の受け入れも迫られている。国内外で1千万人が避難し、うち300万人以上が国外に逃れた。日本は制度変更で就労を可能とし、身元保証をする親類らがいない場合でも認める方向で調整している。対策の実効性を高める必要がある。
 各国はモノやカネの流れを止める経済制裁でロシア追い込みを狙う。世界貿易機関(WTO)の規定に基づくロシアへの貿易上の優遇措置「最恵国待遇」を撤回するなど、輸出入管理を強化する。
 また、金融機関同士を結ぶ国際決済網からロシアの一部銀行を排除した。通貨ルーブルが急落し、外貨準備は半分ほどが事実上凍結された。国債がデフォルト(債務不履行)に陥るリスクが高まっている。
 バイデン米大統領は訪欧に合わせ、米国が主導して欧州各国と新たな制裁を打ち出すことを明らかにした。一方、米国は、中国がロシアに軍事、経済支援を検討しているとみて、中国をけん制している。
 制裁は世界経済にも打撃となり、自らに跳ね返ってくる恐れがある。結束を維持する難しさがあるだけに、関係国の対話が重要だ。
 ロシア側は停戦交渉でクリミア半島領有権承認など厳しい要求を掲げる。ゼレンスキー氏はプーチン大統領との直接会談なしには戦争を終わらせられないとの構えだ。ロシアの攻撃強化と避難妨害で状況はさらに悪化しかねない。仲介外交の必要性もまた一段と高まっている。

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