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高知新聞PLUSの活用法

2022.03.24 00:04

【K+】vol.183(2022年3月24日発行)

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K+ vol.183 
2022年3月24日(木) 発行

CONTENTS
・はじまりエッセイ letter185 中西なちお
・特集 モノと人をつなぐ店|◎コナ-カフェ ◎しましまラボ
・なにげない高知の日常 高知百景
・フランスからの土佐人便り BONCOIN IN PARIS✉31
・高知を元気に! うまいもの熱伝 volume.57|シシトウ@香南市
・K+インタビュー 話をしてもいいですか vol.185 藤岡ちせ
・Sprout Table vol.7 海の見えるお弁当屋 むすび食堂
・+BOOK REVIEW
・夏葉社 島田 潤一郎|第59回|読む時間、向き合う時間
・ちいさいたび #7
・小島喜和 心ふるえる土佐の日々 第三十回
・K+ cinema 記憶のなかの映画館⑯
・Information
・シンディー・ポーの迷宮星占術
・今月のプレゼント

河上展儀=表紙写真

特集
モノと人をつなぐ店
◎コナ-カフェ ◎しましまラボ

仙頭杏美=取材 河上展儀=写真

店主の出合った「いい物」と、作り手の思いを伝える店。
日常に小さな幸せを届けて。



毎日が楽しくなる品を集めて

 疲れているとき、ちょっと元気がないときなどに、おいしい物を食べたり、お気に入りの物を使ったりすると、ポジティブな気分が満ちてくる。好きな物を身近に置くことは、日々を向上させるのに大切です。高知の各地には、生産者さんが思いを込めて作るおいしい食品や、こだわりの日用品がいろいろとあります。今回は、そんな品々を集めた二つのセレクトショップのお話。
 須崎市にある古民家宿「暮らしのねっこ」内にある「コナ-カフェ」。同市出身の店主・古谷嘉代さんが手作りした焼き菓子やパンに加え、県内の生産者さんが作る食品や作家さんの作品などが並びます。
 高知市桜井町の元洋裁学校を改修した複合施設「コレンス」。そこに、東京都出身の保多里江さんが店主の「しましまラボ」があります。小さな店内で、四国と、県内で作られる食品や、環境に配慮した雑貨などを販売しています。
 両店が扱うのは、店主が作り手と出会い、その情熱と、味や品質にほれ込んだ品々。だから作り手の思いを紹介することを大切にしています。
 店に足を運べば、日常を豊かにしてくれる逸品にきっと出合えるはず。




「こんなのあった」を伝える

 昭和初期に建てられた古民家の店内。古びた梁(はり)や古道具がレトロな空気感を醸し出しています。店主の古谷さんが「コナ-カフェ」を始めたのは2009(平成21)年。地元スーパーに勤めた後、好きだったお菓子とパンを料理教室に通って学び、縁のあった津野町で小さなカフェをオープンします。その間、マルシェイベントなどにも出店し、多くの生産者の友人ができました。約10年がたち、地元で店をやりたいと思うようになり、物件を運営するNPOから出店の誘いを受け、須崎市に帰ってきました。
 店舗が広くなったため、自身が作るお菓子に加え、以前からやりたかった生産者や作家の友人が作る品を売り始めます。今では、お客さんの「こんな商品があったの知らなかった」と喜ぶ姿が、古谷さんの幸せです。





手間をかけ手ごねで作るお菓子やパン。卵を食べられない人を思い、パンとクッキーは卵不使用に

手間をかけ手ごねで作るお菓子やパン。卵を食べられない人を思い、パンとクッキーは卵不使用に


粉を使ったお菓子の店という意味を屋号に込めて。古谷さんが、キノコ好きなことからキノコのキャラクター・キノコナちゃんも誕生

粉を使ったお菓子の店という意味を屋号に込めて。古谷さんが、キノコ好きなことからキノコのキャラクター・キノコナちゃんも誕生



西と東のいい物が集まる場に

 「食べてほっとしてもらえる物を作りたい」と、お菓子作りに励む古谷さん。家飲みのお供にもなるようにと作ったチーズケーキはファンの多いお菓子です。地元で人気の上分とうふは、近所の高齢の方が買えるようにと仕入れて販売しています。身近な人の「欲しい」にも寄り添う古谷さん。その品を求め、須崎市内外からお客さんが足を運びます。
 「店を始めてよかったと感じるのは、いろいろな人と知り合えたことです。こんな人がこんな思いで商品を作っているんだと知ると紹介したいし、私も頑張ろうと思えます。須崎市は、高知の西と東の合流地点で、両地域のいい物が集まります。その物と人の出合いの場にできたら」。手作りのお菓子と自身の好きな品々をそろえ、今日も古谷さんはお客さんを迎えます。




須崎産のミョウガシロップなど地元の物から、無農薬柚子酢、お茶、天日塩など県内各地の食品を扱います。文具や陶器など作家さんの作品も

須崎産のミョウガシロップなど地元の物から、無農薬柚子酢、お茶、天日塩など県内各地の食品を扱います。文具や陶器など作家さんの作品も


商店街の通りに建つ旧上原邸。現在、地元の移住定住支援団体「暮らすさき」が宿を営み、1階にコナ-カフェが出店

商店街の通りに建つ旧上原邸。現在、地元の移住定住支援団体「暮らすさき」が宿を営み、1階にコナ-カフェが出店



プロフィール
古谷嘉代さん
津野町に2009(平成21)年にコナ-カフェをオープン。10周年を機に地元の須崎市に店を移転し、県内を中心にしたセレクト品の販売をスタート。須崎市出身。51歳


◎Cona-Cafe (コナ-カフェ)
須崎市青木町5-14 1階
問/090-7573-1680
営/10:00〜17:00 休/月〜水
※パンと上分とうふの販売は毎週金曜。上分とうふは販売のない日あり
最新情報はInstagram/@cona_cafe




子育てを機に食を見直して

 しましまラボ店主・保多さんは、以前は東京の広告代理店で働き、出産後は子育てに専念してきました。「妊娠中、私のアトピー性皮膚炎が悪化して。自分の体と子どもの食について学び、考え方が変わりました。食べる物が体をつくるので、食は改めて大事だなと」
 東日本大震災を機に高知に移住し、まず、野菜の新鮮さと味に感動したと言います。オーガニックマーケットなどの市に通うようになると、生産者の友人が増えました。そして、課題に気付きます。「高知にはいい物がたくさんあるけど、買える場所が少ない。私がその役割をできたらと思いました」。生産者さんの販売をサポートしようと、同じ思いの友人と共にイベントで売り始め、19(令和元)年、拠点を持つためコレンスへ店を開きます。




マダガスカル産チョコレートなど、高知では手に入りにくい商品も扱います

マダガスカル産チョコレートなど、高知では手に入りにくい商品も扱います


天然ヘチマたわしなど、脱プラスチックの環境に負荷の少ない雑貨も販売

天然ヘチマたわしなど、脱プラスチックの環境に負荷の少ない雑貨も販売




新しい食べ方の発見を

 商品の中でも、特に充実しているのが調味料類。「高知には野菜を作る人もいれば、天日塩など調味料を作る人もいます。両方身近にある環境は贅沢。高知の人に、もっと地元の食材を地元の調味料で食べてほしくて」と保多さん。
 また、「暮らしの中で、わあ、おいしいという食との出合いを楽しんでほしい」とも話します。「しましまラボ」のラボラトリー(実験室)には、新しい食べ方の発見という思いを込めました。自ら商品を使った新しいレシピを考え、紹介もしています。
 豊かな食と仲間に恵まれた今の暮らしが心地いいと言う保多さん。今後目指したいことは、オンラインショップの充実。「高知のおいしい物を都会の人にも届けたい。東京へ販売イベントにも出掛けたいですね」。保多さんの夢は広がります。





香川県の小豆島で焙煎(ばいせん)されているメキシコ産の無農薬マヤカカオ。この味と作り手との出合いも店を始めるきっかけの一つ。今年から量り売りも開始

香川県の小豆島で焙煎(ばいせん)されているメキシコ産の無農薬マヤカカオ。この味と作り手との出合いも店を始めるきっかけの一つ。今年から量り売りも開始


個性的な店舗と、人が集う空間に引かれ出店したというコレンス。入り口すぐの場所に店を構えま

個性的な店舗と、人が集う空間に引かれ出店したというコレンス。入り口すぐの場所に店を構えます



プロフィール
保多里江さん
東京の広告代理店で働き、出産後、食に関心を深める。2011(平成23)年に家族で高知に移住。2019(令和元)年、食のセレクトショップを高知市にオープン。東京都出身。47歳


◎しましまラボ
高知市桜井町1-4-5 corens 1階 2号室
問/080-6386-9428
営/11:00〜17:00 休/月〜水
最新情報はInstagram/@simasimalabo

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