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2022.03.18 08:40

また激震「勘弁して」 宮城・福島の高知県出身者ら 不安、焦り「死ぬかも」…

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震度6強を観測した福島県国見町。女性が散乱した家財や思い出の品を片付けていた(17日午前11時ごろ)

震度6強を観測した福島県国見町。女性が散乱した家財や思い出の品を片付けていた(17日午前11時ごろ)

 16日深夜、宮城県と福島県で最大震度6強の地震が起きた。両県は昨年2月にも震度6強に見舞われており、東日本大震災から11年が過ぎてなお不穏な揺れが続く。両県に暮らす高知県出身者らは「すごい縦揺れと横揺れ」「なんでここばかり」と、電話の向こうから不安な声を寄せた。

 「直前に少し強い揺れが来て起きた。ぼうっとしていると、がつんとした縦揺れ。死ぬかも、と怖かった」

 焦った様子で話したのは、高知ファイティングドッグスの投手を昨年まで2年間務めた松下圭太さん(25)。4月からの就職を前に仙台市太白区の自宅アパートにいて、震度5強の揺れに襲われた。

 「体感では、3・11より揺れたと思う」

 11年前の震災時は福島県飯舘村の中学2年生。震度6弱に遭遇し、30キロ先の福島第1原発が爆発した。村は全域が計画的避難区域となり、家族は今も福島市で暮らす。

 アパートでは避難グッズを入れたバッグをそばに置き、テレビのニュースを見続けた。「原発の安全が確認された、と聞くまで寝られなかった。気が気じゃなかった」

 福島市は震度6弱を観測した。高知市出身の丹治知佳さん(62)は自宅でくつろいでいたといい、「縦にも横にも揺れて食器棚の皿やコップが割れた。棚の固定金具が吹っ飛んでいた」。

 1・5キロ離れたJR福島駅は天井から水が漏れ、周囲のビルは窓ガラスが割れているという。福島市は昨年2月の地震でも震度6弱を観測した。「本当に多い。勘弁して」とこぼした。

 同県いわき市で水族館職員として働く春本宜範さん(46)=土佐高校出身=は、自宅でしゃぶしゃぶを食べ終えた直後。鍋のだしがこぼれないよう片手で持ち上げ、反対の手で食器棚の扉を押さえて震度5強の揺れに耐えた。「昨年とは比べものにならない揺れでした」

 地震後、宮城、福島両県には津波注意報が出された。最大1メートルと予測される中、小名浜港そばの水族館の様子を見に行ったという。「到達時間を確認し、避難ルートを想定しながら車で。警報じゃなかったので周囲の反応も落ち着いていた」

 仙台市には県内企業の支店もある。

 兼松エンジニアリング(高知市)東北・北海道支店はビルの外壁タイルが落下し、技研製作所(同)東北営業所も資料が散乱するなどしたが、スタッフにけがはなく業務に支障はないという。

 兼松の浜田誠さん(49)は「ひどい縦揺れと横揺れ。久しぶりに物が飛んだ」。技研の伊東裕晃さん(49)は「11日に防災訓練をしたばかりで安否確認がスムーズにできた」と話した。

 高知県内の東北出身者も心配な夜を過ごした。幡多郡黒潮町の山崎奈美江さん(56)は自宅で眠りに就きかけたところ、携帯電話が鳴った。古里の宮城県気仙沼市で暮らす双子の妹だった。

 「おっきな地震があって、すっごい揺れたけど、みんな大丈夫だから」。東日本大震災の際に通信が途切れ、安否確認に時間がかかった経験からだった。

 11年前は魚市場そばの実家は津波で跡形もなく流されたが、母親は高台の妹宅に避難して無事だった。「コロナで大変なのに。なんで同じ所ばかり地震が来るのか」と古里を思いやった。

 今回取材に応じた県関係者たちは、揺れる前から自宅の家具を固定し、避難バッグを構え、車のガソリンを満タンにするなどしていた。地震の後、断水に備えて風呂の水をためたという。

 「高知も備えた方がいいですよ」。揺れの続く東北から、平素の準備の大切さが伝わってきた。(村上和陽、八田大輔、竹内悠理菜)

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