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2022.03.06 08:37

「きょうだい児」孤独や悩み 高知県内少ない支援、見えぬ実態

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「小さい時は弟や妹を恨んだこともあったけど、今はじゃれあったり楽しく会話したりして、かわいい存在」と話す上野雅さん(高知県内)

「小さい時は弟や妹を恨んだこともあったけど、今はじゃれあったり楽しく会話したりして、かわいい存在」と話す上野雅さん(高知県内)

「弟や妹の介護優先。私は後…」
 「きょうだい児」と呼ばれる子どもたちがいる。重い病気や障害がある子の、兄弟姉妹のことだ。介護に追われる親には甘えることができず、孤独やつらさを一人で抱えたままの子も少なくない。子どもが家族の看病や介護を担う「ヤングケアラー」問題の認知度は上がってきたが、きょうだい児への支援は現状ではまだまだ少ない。

 「弟や妹が優先で、私はその後。それは我慢するしかないと思っています」

 そう語るのは高知農業高校2年の上野雅(みやび)さん(17)。六つ下の弟は軽度の発達障害、八つ下の妹は重度の発達障害と知的障害がある。母は連日、きょうだいの入浴や排せつの介助、通院などに追われている。今でこそ雅さんも親の事情が分かるが、幼い頃は寂しい思いをしてきたという。

 小学6年時。両親の都合がつかず、放課後に急に2人の世話をすることになった。友達と遊ぶ約束をしていたがかなわず、後日、友達に「私と遊びたくないがやろ」となじられた。以降、遊びの約束はしなくなった。

 ある年の授業参観。妹を抱えた親が顔を出してくれたが、妹が授業中に声を上げると、周囲から厳しい視線が注がれた。心の中で「妹をばかにするな」と叫んだ。

 親を悲しませたくないからと一人で気持ちを抱え、家でも小学校でも自己主張を控えるようになった。

 懸命に支える母親は「弟や妹ばかりに時間を費やしてて、雅に申し訳なくて…」。家族が抱える苦悩は深い。

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