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2022.03.05 08:00

【5~11歳接種】正確な情報を判断材料に

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 県内でも今月から、5~11歳を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種が順次始まる。
 オミクロン株が広がってから子どもの感染者は急増し、休校や休園も相次いでいる。ただ、子どもは感染しても無症状や軽症が多く、重症化はまれな傾向という。
 子どもに打つ、打たないの判断に迷う保護者は少なくない。科学的根拠を踏まえた情報に基づいて、メリット、デメリットを十分に知った上で判断したい。
 県内では約3万7千人が対象となる。市町村ごとに小児科での個別接種のほか、病院や量販店で集団接種を計画している。子どもの診察に慣れた小児科医や看護師による対応が望ましいとして、近隣自治体と連携して会場を設けるケースも多い。
 子ども用ワクチンとして唯一承認されている米ファイザー製が使われる。投与する成分量は12歳以上用の3分の1で、3週間の間隔を空けて2回接種する。
 保護者が接種のメリット、デメリットを考える上で、最も重要なのは正確な情報を判断材料にすることだろう。コロナワクチンに関しては、インターネット上のデマや誤った情報に戸惑う人も多い。
 例えば、スピーディーに開発されたワクチンの安全性に疑問を投げ掛ける声もある。不安を感じたならば、複数の専門家が科学的な根拠を示した上で発信している情報を確認することが欠かせない。出どころがはっきりしない一つの情報をうのみにしないことが肝心だ。
 接種後の副反応も気になるところだろう。日米の医療従事者らによるインターネットサイト「こびナビ」によると、腕の痛みや熱、だるさなどの症状が出ることがあるが、16歳以上と比べて頻度は低いという。
 日本小児科学会は、重症化リスクの高い持病のある子どもには優先的な接種を促し、健康な子への接種も「意義がある」と評価している。
 打つか、打たないか。判断する上で、子どもの生活状況や家族構成なども踏まえることになろう。感染力の極めて強いオミクロン株は家庭内感染も広がっている。重症化リスクの高い高齢者や2歳未満のきょうだいらと同居しているなどして、早期の接種を望んでいる場合も多い。
 家庭ごとの事情や考え方によって判断は異なってくる。しばらくは様子見の「保留」もあり得るだろう。接種は強制ではなく、打つかどうかは個人の判断になる。いずれの選択も尊重されるべきだ。
 ワクチン接種を進める国や自治体は、保護者らの疑問や不安を解消するべく、分かりやすい情報提供に努める責任がある。
 文部科学省などは、中高生と同様に5~11歳でも学校での集団接種は推奨していない。「同調圧力」が生じる懸念があるためだ。
 接種したかどうかが、子どもの差別やいじめにつながってはならない。子ども同士で接種の有無を問いたださないことなど、家庭や学校で説明しておく必要もある。

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