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2022.02.20 08:00

【高知の小集落】住み続ける困難どう支援

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 住み慣れた場所で暮らしたい。しかし、その集落としての機能を維持する活動は難しくなっている。
 高知県が2021年度に行った小規模集落の実態調査の中間報告は、こんな厳しい現実を改めて突き付ける。疲弊はさらに進んでいる。
 高齢化や担い手不足が進み、地域の道路・水路など共用施設の管理、祭りの継承ができなくなっていく。県内小規模集落の4割は、10年後にはこうした活動が維持できなくなると考えている。前回11年度調査では3割に届いていない。
 10年前と比べ、道路管理などへの参加者が減ったと7割が感じているのが現状だ。さらに人が減少していけば一層困難となるのは必然で、そうした思いが先行きへの懸念を高めていることは間違いないだろう。
 その一方で、集落に住み続けたいとの願いは7割近くに上る。移動や買い物などの不便があるはずだが、前回調査とほぼ同じだ。生活環境が変わる中でも親しんだ地域への愛着の深さが映し出される。こうした思いに応える対策が求められる。
 県中央部の中山間地域に住む70歳代の男性は、行政サイドから農作物栽培に関する補助制度を紹介され、仲間たちと取り組んだこともある。しかし、高齢化に伴い離職者がでると、手間が比較的かからない作物であっても規模の維持が難しくなる問題に直面したという。
 人手を確保できないことが、今も新たな取り組みをためらわせるそうだ。流通までを考えればさらに難しくなってくる。こうした課題の解決は簡単でないことは誰もが承知しているだろうが、かといって手をこまぬいているわけにはいかない。
 調査では、中山間地域の核となる「集落活動センター」について、設置された地域の満足度は高く、地域の活力向上に一定の役割を果たしていると評価されているようだ。それを継続できるような積極的な取り組みが望まれる。
 一方、設置されていない地域ではセンターへの関心はさほど高くない。だが、これは仕方ないことかもしれない。センターの普及を活動の一助とはしたいが、設置自体が目的ではない。また違った形での取り組みを通して支援することも考えていく必要があるようだ。
 ピーク時には90万人に迫った県人口は、70万人を割り込んだ。中山間地域での減少は急激で、人口構成も高齢者が多い。前回調査では、集落の先行きを衰退、消滅とする予想も多かった。
 今回の調査の分析を新たな施策へとつなげることが重要だ。劇的な変化は望みにくいが、小さな取り組みでも重ねていくしかない。
 さまざまな対策を通して、成功事例をより多くつくっていくことが重要だろう。過疎や高齢化の実態は、人口規模や地勢によって地域ごとに異なる。それだけに、成功事例をそのまま模倣してもうまくいくわけではないことは明らかだ。それらを参考に、修正を加えながらよりよい対策としていきたい。

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