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2022.02.20 08:35

梼原の特産品・アメゴとキジ終わらせない!廃業直前、2集落活動センターが継承 高知県梼原町

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アメゴ養殖場で事業を軌道に乗せたいと意欲を語る中越貴史さん(梼原町田野々)

アメゴ養殖場で事業を軌道に乗せたいと意欲を語る中越貴史さん(梼原町田野々)

施設改修 拡張も計画
 高岡郡梼原町で、ともに生産者が1人だけとなり存続が危ぶまれていたアメゴ養殖とキジ生産事業が、それぞれ地元の集落活動センターに引き継がれた。2022年度は町の支援を受け施設整備のてこ入れも図る予定で、各関係者は地場産業の再興を目指して張り切っている。

 アメゴ養殖は町内で1970年ごろに始まり、86年からは田辺弘さん(67)=川井=が唯一、越知面地区などの養殖場で続けていた。しかし施設の老朽化に新型コロナウイルスによる売り上げ減が重なり、2年前から廃業を検討していた。

 町を通じこうした状況を知った集落活動センターおちめんが引き継ぎを模索。父親が同地区出身で、高知市からのIターンを検討していた中越貴史さん(33)に担い手を打診した。

 中越さんは「不安はあったが単純に面白そう」と挑戦を決め、空調設備会社を退職して2021年3月に井の谷に移住。4月からは同センターの集落支援員として、田辺さんの指導で養殖技術を学んでいる。

 地区内2カ所の養殖池は町が買い取り、22、23年度に改修、拡張される予定。中越さんは「今のところふ化も順調に進みほっとしている。軌道に乗せ特産品にしたい」と意欲を見せる。同センター推進委員会の上田末喜会長(70)は「リモート管理なども取り入れ、若い人が働けて収益が出る事業になるようしっかりサポートしたい」と新たな就労の場として期待を込めている。

キジ生産事業に乗り出した集落活動センター四万川のメンバーら(同町六丁)

キジ生産事業に乗り出した集落活動センター四万川のメンバーら(同町六丁)

 一方、キジ生産は農家や林業家が副業として始め、1986年に生産組合が発足。最盛期は十数人が約4千羽を飼育し、約2千万円を売り上げていた。しかし高齢化が進み、2020年に生産者は4人に。さらに21年は組合長の川上芳郎さん(65)=竹の薮=だけになっていた。

 組合の食肉加工施設も老朽化しているが1人きりでは更新のめどもたたず、川上さんは地元の集活センター四万川に相談。同センターを運営する住民出資の株式会社「四万川」が「地元の産業の灯を消したくない」と21年10月、川上さんを部長に雉(きじ)生産部を組織して事業を継承した。

 同センターは22年度に町の補助金を受けて、新たな加工施設や鶏舎の整備を計画。生産者を増やし飼育規模の拡大を図るとともに、キジ肉の新商品開発や販路拡大にも取り組む考えだ。

 四万川の社長を務める空岡則明区長(69)は「雇用の場でもあり地域全体の事業として販売を伸ばしていきたい」。川上さんは「ぎりぎりのところで存続できてほっとしている。肉の評価は高いので後継者を増やして再興したい」と気持ちを新たにしていた。(富尾和方)

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