2024年 04月29日(月)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.02.17 08:00

【県の当初予算案】コロナ後にらんだ戦略を

SHARE

 高知県が2022年度の当初予算案を発表した。
 浜田省司知事は19年12月の就任以降、新型コロナウイルス対策に集中せざるを得ない「守り」の県政を強いられてきた。いまも変異株のオミクロン株が猛威を振るい、気を抜けない状況が続く。
 ただ、任期の折り返し地点を過ぎて、施策に独自色が求められる段階にはとうに入っている。県民に具体策で成果を実感させられるかが問われてこよう。
 一般会計は前年度比4・0%、186億円増の4821億円とした。尾﨑県政の実質初年度だった08年度以降で最大規模となる。新型コロナ対策費が膨らむことが主な要因だ。
 実質的な地方交付税の減額などで財源不足額は144億円に膨らむ。これには、21年度2月補正予算でいったん財政調整的基金に積み立てる県税や地方譲与税の上振れ分などを充てる。投資的経費は3・2%増の938億円を確保した。
 本県にはまん延防止等重点措置が適用されている。第6波が収束しても、新たな変異株による流行の恐れも拭いきれない。コロナ対策は引き続き県政の最重要課題となる。
 感染症対策費は151億円と昨年当初比で倍増させた。ワクチンの3回目接種の促進に向け、高知市と共同で大規模接種会場を設置。医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を防ぐため、軽症や無症状の感染者が宿泊療養できる施設を拡充する。
 コロナ禍で傷ついた経済への対策にもほぼ倍増となる122億円を確保。打撃を受けた事業者への給付金に加え、観光の需要回復を取り込むキャンペーンを展開する。いずれも県民の命や健康、生活に直結する問題だけに、万全を期す必要がある。
 一方で、本県が抱える構造的な問題も忘れてはならない。これまでの官民によるさまざまな対策にも、人口減少や高齢化は止まらない。産業振興や中山間地域の暮らしを守る取り組みはより重要さを増す。
 当初予算では、浜田県政がコロナ後の成長の原動力と見据える「三つの視点」の施策を重点化した。
 デジタル技術を中山間などでの生活や医療、教育に浸透させる「デジタル化」、省エネや電化に加え、温室効果ガスの吸収源として林業振興などに取り組む「グリーン化」、県産品の輸出拡大、インバウンド(訪日外国人客)観光を推進する「グローバル化」の3本柱だ。
 これらの実践段階には、浜田知事の公約である関西圏との連携強化も絡んでこよう。コロナ禍で思うに任せない状況が続いたが、反転攻勢につなげたい。
 昨年10月の世論調査で浜田県政を評価する声は73・7%に達した。任期後半はコロナ禍への「守り」に加え、本県の将来に道筋を付ける「攻め」でも存在感が問われる。
 「三つの視点」がコロナ後の原動力にとどまらず、本県の構造的な問題の処方箋にもなり得るかどうか。22日からの県議会2月定例会で活発な議論を期待したい。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月