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2022.02.07 08:40

人と機械の橋渡しを AIトレーナー 今西智将さん(29)高知市―ただ今修業中

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「自分で決めれば、人生をハンドリングしている感覚になる」と笑う今西智将さん(南国市蛍が丘1丁目)

「自分で決めれば、人生をハンドリングしている感覚になる」と笑う今西智将さん(南国市蛍が丘1丁目)


 45秒03。2007年10月の本紙に掲載された当時の陸上400メートルリレー県中学タイ記録を、介良中学校のアンカーとして刻んだ。紙面には、中学から土佐高校時代までたびたび名前が登場している。

 短距離の世界では、1年かけてコンマ1秒すら縮まらないこともある。少しでも速くと「フォームや筋肉を意識しイメージと重ねる。どうしたら速くなるのか考えるのが好きだった」。

 少しはにかみながら振り返るかつてのアスリートは今、先端技術の世界を走るAI(人工知能)トレーナーに。東京と南国市での2本社体制をとるAIシステムの開発企業「ネクストリーマー」で、自動会話プログラムの作成や顧客のニーズ把握に汗を流す日々を駆けている。

 ◆

 「データ分析的な思考は中高の部活で培われたのかも」

 ただ、最初からAIの世界を目指していたわけではない。東日本大震災直後だった大学進学時は、環境やインフラ整備への注目が高まっていたこともあり農業土木の分野へ。岡山大で学ぶうち、道路やダムなどにも先人の知見の積み重ねがあると知った。

 「社会のためになる仕事」だと実感し、河川への流入雨量計算など、防災にもつながる学問にのめり込んでいった。

 京都市内の建設コンサルタント会社に就職したのも自然な流れ。道路や橋など公共事業の設計に励む充実の日々が流れる中、ある思いが芽生えた。

 「全て人間がやっていては持たない。情報技術を生かして働き方を変えられないか」

 構造物の保守点検などは危険な作業も多い。加えて業界は人手不足。働く人を手助けする側になれないかと、情報データの処理や分析への興味が増した。

 2年で退社し、重機メーカーに1年余り勤めたものの、思いは膨らみ続け、3年前にネクストリーマーの門をたたいた。

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 南国オフィスパークセンター内にある高知本社は、国内外の顧客から寄せられる膨大なデータから有用な素材の選別、AIの学習に必要な項目を抽出するなど、同社のデータ作成の拠点となっている。

 AIが目的に沿った稼働をするよう、学習データを整えていくのがAIトレーナー。昨年8月の本社化とともに責任者となり、顧客への提案から作業のマネジメントと業務は多岐にわたる。 

 顧客ニーズには目的が不明確な場合もあり、「経験と勘だけじゃなくデータの知見から提案できる技能が求められる」。同時に、作業を行う部下には「案件の背景まで説明して納得感を持ってもらいたい。提案力とマネジメント力が問われます」と顔を引き締める。

好きな言葉

好きな言葉

 自らのデータ分析スキルや提案力を鍛え、部下の成長も促すために「自分で考えて動けば自分事になる。しんどいけど、人間の成長を考えていくのは楽しい」とほほえむ。

 技術革新によって「よく『AIに仕事が奪われる』と言われるけど、機械は人をサポートするもの」。技術と機械、人が共存し、より幸せな世の中になるよう「橋渡し役になりたい」と前を見据える。

 あの日芽生えた思いを実現するため、先端技術のフィールドを走っている。

 写真・文 飯野浩和

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