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2022.01.29 08:00

【ガソリン高騰】負担を軽減する対策に

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 ガソリンや灯油の価格が急騰している。新型コロナウイルス禍からの経済社会活動の再開を妨げないよう万全の対策をとる必要がある。
 政府は燃油の市場価格に介入する異例の対応を始めた。事業経営や家計への圧迫を軽減するための施策を積極的に展開するのは当然だ。
 一方で、どの程度価格に反映されたのかが見えにくく、消費者からの反発への懸念や、効果を疑問視する声もある。実効性のある取り組みとなっているか検証を重ねながら、負担の緩和へとつなげたい。
 政府はガソリン価格が1リットル当たり170円以上になった場合に、元売り業者に1リットル当たり最大5円を補助することを決めた。対策費800億円を計上した2021年度補正予算が昨年12月に成立している。
 経済産業省がまとめた24日時点のレギュラーガソリンの平均小売価格は、高知を含む20都府県で170円を超えた。全国平均も2008年9月以来となる170円を突破した。このため政府は、卸価格の急激な上昇を抑えるための措置を初めて発動した。
 今回はガソリンや灯油などを対象に1リットル当たり3円40銭の補助金を元売り業者に支給する。元売りが補助額分を差し引いた価格で卸すことで、小売りはその分上昇を抑えた価格で入手できることになる。
 ガソリンなどの高騰は、施設園芸や漁業、運送業など幅広い業種の経営を圧迫する。暖房に使われる灯油なども値上がりが続き、暮らしの重荷となっている。高知県内でも多方面から切実な声が上がる。
 店頭価格には1、2週間かけて反映される見通しという。ただ、補助額分が店頭価格の値下げに直結するわけではない。このため、消費者が抑制策の効果を実感しにくい場面があると指摘されている。
 そうなると、値下げへの期待は大きいだけに戸惑いや反発が出かねない。制度の在り方が周知されていないと、原油高が続いて追加の対策を迫られる際の対応にも理解を得られなくなりかねない。
 経産省は全国約3万のガソリンスタンドなどで聞き取りを行いながら、反応や対策の効果を見定めるという。各店の経営にも関わることであり丁寧な対応が欠かせない。
 原油価格は新型コロナ禍からの経済活動の再開に伴い高騰した。日本では円安も加わりガソリンや灯油が高値圏で推移している。昨年11月には、米国の要請で各国が協調して石油備蓄の放出を打ち出している。
 新変異株「オミクロン株」が急拡大しても世界経済の成長の大きな妨げにならないとの見方が広がり、価格を押し上げている。また、産油国の多い中東の情勢不安やウクライナ情勢の緊迫化が、原油の先行き供給不足感を強める。
 当面は高値圏で推移するとの観測が出ている。産油国への働き掛けなど多面的な取り組みが求められる。安定供給へ向け、国際社会と協調して対応を強化する必要がある。
 食料品や家庭用製品の値上げも相次ぐ。影響の軽減が不可欠だ。

高知のニュース 社説

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