2022.01.12 08:40
窪川駅でどじょうすくい?JR四国の観光列車、住民が仮装で出迎え きっかけの87歳男性「生きがい」
観光列車の乗客に大きく手を振る住民ら(写真はいずれも四万十町榊山町)
JR四国の観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」が折り返す高岡郡四万十町の窪川駅近くで、住民の出迎えが盛り上がっている。1人のお年寄りが仮装して始めたのをきっかけに、「面白そう」と触発された人たちが続々と加わり、30人近く集まる日も。勝手連のように広がる歓迎に、乗客も盛んに手を振り返している。
始めたのは、同町琴平町の田村梅一さん(87)。旧窪川町職員時代から人を楽しませるのが好きで、退職後も仮装や踊りなどを披露する住民グループで活動を続けてきた。
出迎えのきっかけとなった田村梅一さん。かかしも並べ、にぎわいを演出する
10年ほど前から、かかし作りにも挑戦。観光列車の歓迎に町が昨年企画したコンテストにも出品し、ダンス姿の男女やペンギン、NHK番組の人気キャラクター、チコちゃんなどユニークな約10体を並べている。
合わせて列車の運行時、安来節「どじょうすくい踊り」の仮装をしたり、かかしに紛れて立ったりなど、趣向を凝らして乗客を歓迎。妻の多鶴さん(86)も加わる中、近所の人も思い思いの姿で現れ、出迎える人々が続々と増えていった。
キツネのお面で仮装した住民も「また来てね~」とお見送り
列車がやって来る日、集まった住民にカラフルな風船を配る女性(72)は、「またきてね」と書いたプラカードを手にして「楽しいわよ~」。つられて加わったという会社員、山脇美香さん(54)も「ご近所とも仲良くなれます」と笑う。キツネのお面と着物姿のコンビは大きく手を振り、休日には小学生も加わる。
折り返しの列車が動きだすと、田村さんらは懸命に手を振り、追い掛け、風船を掲げて「また来てね~!」。列車が見えなくなると「毎度、楽しいねえ」「また明日ね」と笑顔で解散している。
「一緒にやってくれる人が増え、こんなにうれしいことはない。私の生きがいです」と田村さん。「一緒にやりませんか」と、さらなる参加を呼び掛けており、歓迎の輪はまだまだ広がりそうだ。(小林司)