2024年 04月30日(火)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.01.12 08:00

【北朝鮮ミサイル】緊張高める開発をやめよ

SHARE

 北朝鮮がきのう、日本海に向けて弾道ミサイルと推定される飛翔(ひしょう)体1発を発射した。5日にも新型弾道ミサイルを日本海に発射し、「極超音速ミサイル」と主張している。
 極超音速ミサイルは音速の5倍以上の速度で飛来するため、探知や迎撃が難しい。北朝鮮が速度や飛距離を向上させていくと、地域の安定を揺るがせる新たな脅威となる。
 緊張を高める行為を北朝鮮にやめさせなければならない。国際社会は結束して圧力を強めるとともに、対話の再開へあらゆる可能性を探る必要がある。
 今回の発射について日本政府は、通常の弾道軌道であれば飛距離は700キロ未満で、日本の排他的経済水域(EEZ)外の海域に落下したと推定する。変則的な軌道で飛距離を伸ばした可能性があるようだ。
 ミサイルは音速の10倍近くに達したとされる。前回の発射について、韓国は極超音速の技術には到達していないと分析しているが、昨年9月の初発射からデータを蓄積し、技術を高めていることは間違いない。詳しい分析が不可欠であり、追加発射への警戒も怠れない。
 国連安全保障理事会は、5日の発射を巡り緊急会合を開いた。しかし、中国とロシアは北朝鮮擁護の姿勢を崩さなかった。一致した対応がとれないと北朝鮮に見透かされてしまえば、兵器開発を阻止することは遠のいてしまう。
 日本と米欧5カ国は会合に先立ち、「安保理決議に明白に違反している」と弾道ミサイル発射の非難声明を共同で発表した。北朝鮮に大量破壊兵器や弾道ミサイル開発計画を放棄するように訴え、「意味のある対話」に加わるよう求めた。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は、当時のトランプ米大統領との再会談が決裂後、対決姿勢を強めている。昨年12月末の党中央委員会総会では、不安定化する朝鮮半島の軍事的環境と国際情勢が「国防力強化を求めている」として戦力の強化を指示した。
 また総会では、最優先事業に新型コロナウイルス対策を挙げ、国境封鎖を続ける姿勢を示している。2017年に「国家核戦力完成」を宣言し、国連安保理から強い経済制裁を受けている。コロナの影響で中国との貿易が落ち込んだため、物資不足は一段と強まっているとみられている。制裁解除を受け、経済を立て直すことが重要なはずだ。
 人民が第一に解決を待つ切実な課題として、食料問題に言及している。農業生産の拡大に取り組む考えのようだ。それ自体は大切だが、課題解決の第一に掲げる状況を考えれば、兵器開発を進める場合ではないことは明らかだ。
 バイデン米政権は北朝鮮との交渉に持ち込みたい意向のようだ。だが北朝鮮の対応次第では変化する可能性もある。北朝鮮は日本との対話の意思を示さず、拉致問題解決への進展がみられない。挑発的な姿勢では孤立をさらに深める。対話への道筋を明確にする必要がある。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月