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2022.01.07 08:00

【コロナ重点措置】第6波へ対策の点検を

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 新型コロナウイルスの感染が急拡大する沖縄、山口、広島の3県は政府にまん延防止等重点措置の適用を要請した。政府は7日に決定する。懸念された流行の第6波に入ったとも指摘される。
 新たな変異株「オミクロン株」の市中感染が各地で確認されている。従来の変異株より感染力が強く、適用対象外の地域も油断できない。急拡大に備えて検査や医療提供体制などを点検し、対策に万全を期す必要がある。
 欧米などでオミクロン株が猛威を振るう一方、国内では10月以降、感染状況は落ち着いていた。ワクチン接種の効果に加え、政府が「先進7カ国で最も厳しい」とする水際対策が一定機能したといえよう。
 新規感染者が増加に転じた要因として、昨年2月の接種開始から時間がたち、社会全体のワクチン効果が低下し始めたことも考えられる。ただ、それだけではあるまい。水際対策の「穴」が感染拡大につながった可能性は高い。
 重点措置を要請した沖縄県、山口県は県内に在日米軍基地を抱え、広島県は隣接している。地元自治体は基地から感染が「染み出した」との見方を強めている。
 実際、沖縄県の各基地や岩国基地などでは大規模なクラスターが発生した。基地の日本人従業員や、外出した米軍関係者から周辺に感染が広がったとみられる。
 政府は今年に入り、オミクロン株拡大防止対策の軸足を従来の水際対策から国内対策に移した。局面の変化に対応する見直しは必要だ。
 昨夏の第5波では、ピーク時に1日の新規感染者数が2万5千人に達し、都市部で医療崩壊が発生した。自宅療養では急変して入院できないまま亡くなる人も相次いだ。こうした事態を繰り返してはならない。
 政府は感染急拡大に備え、都道府県に検査や医療体制の強化を要請した。高知県でも感染者数がじわりと増えてきた。
 オミクロン株の重症化リスクは従来の変異株より低いとする研究がある一方、感染力は強い。患者が急増すれば、再び医療体制が逼迫(ひっぱく)する懸念はある。自宅療養中も継続して健康観察や診察を受けられる体制整備が求められる。
 今回の急拡大は、感染対策以外にも、長年の課題を浮き彫りにした。日米地位協定にほかならない。水際対策の穴が見つかった以上、放置はできない。
 在日米軍は協定に基づき日本側の検疫が免除され、検査や感染対策は米軍任せだった。在日米軍は2020年7月、日本の水際対策と整合性のある対策を取るとしたが、実際は昨年9月から出国時検査を免除するなどずさんな対応だった。
 政府は米兵らの外出制限を含めた対策の強化を要請した。だが、国内での感染拡大を早め、周辺住民の健康を害した可能性をもっと重く受け止めるべきではないか。再発防止には、日米地位協定の抜本的な見直しが必要となろう。

高知のニュース 社説

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