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2021.12.25 08:15

赤にこだわり生命力表現 日展特選の染織作家・西緑さん(高知県いの町)

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「制作を続けてこられたのは、周囲の応援、作家仲間との切磋琢磨(せっさたくま)あってこそ」と話す西緑さん(高知市の高知学園短大)

「制作を続けてこられたのは、周囲の応援、作家仲間との切磋琢磨(せっさたくま)あってこそ」と話す西緑さん(高知市の高知学園短大)

 「第8回日展」の工芸美術部門で2回目の特選を受賞した染織作家の西緑さん(吾川郡いの町)。染めた布を裂いて織る「裂き織り」に取り組んで40年余り。「継続は力なり。続けてこられたことが今回の成果につながった」と喜ぶ。

 西さんは1955年高知市生まれ。東京学芸大卒。絵模様を織り出す綴(つづ)れ織りをベースにした裂き織りで創作を続けている。画家志望だったこともあり「糸と布を使って、油絵を描くようにイメージを織り込んでいく。裂き織りは肌触りも温かく、自分の表現したいことにぴったりだった」という。

「明日に繋ぐ」

「明日に繋ぐ」

 受賞作「明日(あす)に繋(つな)ぐ」には、感染症や自然災害など不安が多い中、希望や生命を明日につなげたいという気持ちを込めた。

 縦187・5センチ、横120センチの大胆な構図の中に、生命力を表現した。特にこだわったのが赤。「紅絹(もみ)」という赤い絹の布を、作品のメインになる球体部分に使った。魔よけの意味合いもあるというその赤を生かすため、ほかの赤の彩度を落とすなど配色を工夫した。審査員からは、多様な色使いや表現の力強さなどが評価された。

 2016年に高校の美術教員を定年退職。現在は高知学園短大非常勤講師、明徳義塾高美術部顧問などを務める。「作品とじっくり向き合う時間ができた」といい、新型コロナウイルス禍も「逆に、ゆとりをもって制作に取り組めた」と前向きに捉える。

 特選2回目で来年は無鑑査となる。「もっとチャレンジをする上でも、日々の制作が大事。自分を見つめる時間を大切にしたい」

 日展巡回展は京都市京セラ美術館で来年1月15日まで開催中。その後、名古屋、大阪などに巡回する。(小川一路)

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