2024年 05月04日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2021.12.20 08:00

【「昭和南海」75年】防災減災へ備え続けよう

SHARE

 戦後間もない高知県を襲った昭和南海地震から、あすで75年がたつ。
 南海トラフ地震は周期的に繰り返される。75年という年月は、単なる時の経過ではない。海底で地震を引き起こすひずみがたまり続けている期間と言える。
 近い将来に想定される最大震度7の揺れと、広範囲に及ぶ津波の被害をどう抑えるか。県民挙げて防災・減災への取り組みを加速させたい。
 1946(昭和21)年12月21日、昭和南海地震は夜明け前の午前4時20分ごろに発生した。
 県内は震度5の揺れに見舞われた。地震の規模を示すマグニチュード(M)は8・0。宝永(1707年)のM8・6、安政(1854年)のM8・4に比べて規模は小さかった。
 とはいえ、揺れや津波の被害は深刻だった。家屋倒壊による火災も起きるなどして、県内の死者・行方不明者は679人に上った。
 沿岸部には、津波が繰り返し襲来した。被害が大きかった須崎市では、2時間半の間に6、7回ほど押し寄せたとされる。
 高知市周辺は地盤が1メートル余り沈降。葛島橋近くの国分川堤防が液状化で決壊し、流入した津波の影響で浸水被害が広がった。
 その状況は必要となる対策を示しているといってよい。住宅耐震化や津波からの迅速な避難、堤防の補強…。それらを着実に進め、犠牲者を一人でも減らし、限りなくゼロに近づけなければならない。
 2011年の東日本大震災を受け、県内ではハード対策が加速した。津波避難タワーの建設や、揺れや液状化対策を施す「粘り強い」堤防の整備、浦戸湾周辺では「三重防護」などが進んでいる。
 ただ、国や自治体の対策だけでは限界がある。私たち住民が防災意識を向上させ、個々で備えることが欠かせない。揺れから身を守り、被災後の生活まで見据えて、自宅の地震対策に取り組む必要がある。
 近年、住宅耐震化は低コスト工法の導入や補助金の上乗せなど、住民負担の軽減策が広がる。市町村に問い合わせるなどして検討したい。
 すぐに取りかかれる対策が家具の固定だ。県は南海トラフ地震時、県内で2500人が家具類の転倒で死傷すると想定する。しかし、県内の家具固定率は4割に届いていない。
 地震後、室内で倒れた家具に行く手を阻まれれば、迅速な避難が難しくなってしまう。年末の大掃除のタイミングに作業するなどして、自宅内の安全度を上げておきたい。
 「最低3日分以上」とされる備蓄も用意しておく必要がある。地震後、直ちに困るのが断水などでトイレが使えなくなることだ。水や食料のほか、携帯トイレや簡易トイレも準備しておくと安心だろう。
 それらは地震以外の災害時にも必須である。気候変動により、集中豪雨や巨大台風の被害も増えかねない。自分と大切な人の命を守るため、日頃から対応を考えておくことが重要になっている。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月