2021.12.12 08:25
地域で支え合う場所を、子ども食堂支援の湯浅誠さんが講演 こうち食支援ネット設立記念 高知市
「子ども食堂は交流をベースにした多機能な場所」と話す湯浅誠さん(高知市鷹匠町1丁目の三翠園)
おいしいご飯が何種類も並び、地域の人が入れ替わりで来て世間話をしながら、「ごちそうさま」と帰って行く。子ども食堂って、そんなところ。子どもとその保護者、地域の高齢者ら3世代が交流する居場所だ。交流をベースに、子どもの貧困対策、高齢者の健康づくり、地域活性化、子育て支援など多機能を持っている。
子どもの貧困率は、7人に1人に相当する13・5%。だが、そうした子も普通にランドセルを背負って通学し、スマートフォンを持っている。周りが気づきにくい「黄信号」の家庭は多いが、放っておくと深刻な赤信号家庭になることもある。
貧困対策では、黄信号家庭を含めた対応が必要だが、そうした子は相談に行かない。多くの人が、そんな場所には行けない、まだ頑張れると思っている。赤信号になって初めて相談に来て、「なぜもっと早く来なかったのか」ということが起き続けている。
それなら発想を変えよう。黄信号の子たちが行く場所はどんなところか。自分から「困っている」などと言わなくても、誰もが行ける場所。子ども食堂が貧困対策にもなるのはそのためだ。一緒に食事をしたり宿題をみたりする中で、周りが気づいてサポートにつなげられる。相談機能はさりげなくついていることに意味がある。
子ども食堂で勉強を見守ってもらいながら、家でやったことがないぐらい頑張ったり、交流を通じて励まされたり。居場所はそんな力を与えてくれる。貧困かどうかにかかわらずすべての人にそういう場所があれば、ずっと暮らしたい地域になると思う。(松田さやか)