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2021.12.01 08:34

深海魚ヒメキチジ8新種確認、高知大・遠藤教授ら論文 「土佐のお魚博士」蒲原博士にちなみ命名も 

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高知市の御畳瀬漁港で上がったヒメキチジ=上=とヨロイヒメキチジの標本。高知大学などの研究で別種と分かった。ヨロイ―の方が頭のとげがわずかに長い(同大海洋生物学研究室提供)

高知市の御畳瀬漁港で上がったヒメキチジ=上=とヨロイヒメキチジの標本。高知大学などの研究で別種と分かった。ヨロイ―の方が頭のとげがわずかに長い(同大海洋生物学研究室提供)

 高知大学理工学部海洋生物学研究室の遠藤広光教授らが、深海魚のヒメキチジに属する8新種を確認したと発表した。その一つを、「土佐のお魚博士」こと同大名誉教授の故蒲原稔治博士にちなみ、「P・kamoharai」と命名。和名をヨロイヒメキチジとした。蒲原博士が残した記録を基に「日本で最も早い85年前にこの種を認識していた」と敬意を込めた。

 ヒメキチジ属は体長8センチほどの赤っぽい体で、太平洋とインド洋の水深200~600メートルに生息。2種のみとされてきたが、遠藤教授らは「生息域が広く、もっと多くの種に分かれるはずだ」と調査してきた。

 高知市の御畳瀬漁港で水揚げされた個体の標本や、米国やロシアの博物館が所有する標本を比較し、体形や模様、とげの長さなどから、8新種を含む10種に分類し直した。遠藤教授は「深海魚の進化や分布のパターンを解明する土台になる」としている。

 新種の一つ、ヨロイヒメキチジは、蒲原博士が1936年に土佐湾で確認し、線描画に残した種にちなむ。蒲原博士は38年に「ヒメヨロイカサゴ」の和名を提唱したが、別の研究者が1カ月早くヒメキチジと名付けたため定着しなかった。

 今回の研究では、蒲原博士が確認していた種は、同じ属だがヒメキチジとは異なることが判明。「ヨロイ」の文字が分類に生かされた。

 8新種に関する論文は、遠藤教授と、海洋生物学研究室出身の上阪健太さんと山川武さん、近畿大学助教の松沼瑞樹さんが著し、11月に日本魚類学会の学術誌に掲載された。(八田大輔)

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