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2021.11.11 08:00

【第2次岸田内閣】独自色をどう発揮するか

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 衆院選を受けた特別国会が召集され、衆参本会議の首相指名選挙で岸田文雄首相(自民党総裁)が選出された。公明党との連立政権による第2次岸田内閣が発足。実質的に選挙対応に追われた第1次を経て、岸田政権が本格的に始動する。
 岸田首相は10月の就任以来、「信頼と共感」の政治を強調している。新型コロナウイルス禍で「政治と国民の心が離れた」との反省に立つ。政策で「岸田カラー」を打ち出せるか、政権運営の手腕が問われる。
 衆院選後に甘利明氏が自民党幹事長を辞任。後任に外相だった茂木敏充氏が起用された。第2次内閣では参院から衆院にくら替えした林芳正氏が外相に就き、ほかの閣僚はいずれも再任となった。
 与党は衆院選で国会運営を主導できる絶対安定多数(261)を上回る議席を得た。主要な争点となったコロナ対策や経済の立て直しは、国民生活に直結する喫緊の課題である。岸田政権は、改めて開かれる臨時国会や年明けの通常国会で早速、公約の実現が求められる。
 政府は12日にも「新型コロナ対策の全体像」をまとめる。政府対策分科会はこれに先立ち、新規感染者数より医療の逼迫(ひっぱく)度を重視した、対策の新指標を決めた。ワクチン接種率は7割を超え、治療薬の開発も進む。見直しは、従来に比べ感染しても重症化しにくいとの判断だろう。
 感染は落ち着いた状況だが、欧州などで再び感染が急拡大している。流行「第5波」では自宅療養者が13万人を超え、入院できないまま亡くなる人もいた。再び「医療難民」が発生しないよう、第6波への備えに万全を期す責任がある。
 経済対策では、与党が18歳以下の子どもへの10万円給付で合意した。所得制限は設定するものの、対象は全体の約9割に及びばらまき感は否めない。コロナ対策の重要性は言うまでもないが、厳しい財政状況を踏まえれば予算規模ありきではなく、事業効果の見極めが欠かせない。
 「ポストコロナ」の視点も求められる。衆院選では「成長と分配」が論点になった。岸田首相の提唱する「新しい資本主義」の具体像は衆院選を経てもぼやけたままだ。国会での議論を通じ、政策を国民に明らかにする必要がある。
 安倍・菅政権からの「負の遺産」にもしっかりと向き合うべきだ。金銭授受問題が再燃した甘利氏は要職にありながら、小選挙区で野党の新人に敗れた。政府や与党に対し、有権者がいまだ説明責任を果たしていないと判断した表れだろう。
 森友学園を巡る公文書の改ざんや「桜を見る会」夕食会費などの問題も残っている。国民の疑念に丁寧に答える姿勢を欠いては政治への不信感は解消できまい。
 新内閣の発足に伴い、中谷元・元防衛相が新設された人権問題担当の首相補佐官に就いた。新疆ウイグル自治区や香港の人権問題を抱える中国などが念頭にあろう。日本独自の立ち位置から、人権外交で岸田色をいかに発揮するかが問われる。

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