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2021.11.09 08:00

【コロナ新指標】医療提供体制を万全に

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 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が策定した感染状況を評価する新指標は、新規感染者数よりも医療の逼迫(ひっぱく)状況を重視する方針を掲げた。これを判断材料として都道府県が対策を強化し、また政府が緊急事態宣言を発令する。
 国内のワクチン接種は人口の7割を超えた。新規感染者は減少し、治療薬の利用もあって感染しても重症化する割合が減っている。感染者数評価での段階分けよりも実態に即していると判断したのだろう。
 指標の数値に基づく感染状況の分類は一つ増えて5段階になる。レベル3は、従来のステージ3(感染急増)の最終局面やステージ4(爆発的感染拡大)に相当する。一般医療を相当程度制限しなければ適切な医療対応ができなくなる状況と位置付ける。病床数予測などから判断し、早い段階で緊急事態宣言などの強い対策を講じるように求めている。
 レベル4は一般医療を制限しても新型コロナに対応できない状況とする。最大確保病床数を超えた入院が必要となるため、国は災害医療対応として都道府県を支援する。
 このような事態を招かないことが対応の基本だ。流行「第5波」では自宅療養者が13万人を超えた。入院できないまま病状が悪化し、自宅で亡くなった人もいた。医療に過度な負荷がかかれば同じようなことが繰り返されかねない。
 言うまでもなく、逼迫回避は医療の提供を維持するためだ。これまでの経験を生かして、医療体制を再構築する必要が高まっていることを忘れてはならない。想定される第6波をにらみ、準備を着実に進めていくことが求められる。
 政府は、病床や医療人材を確保するために強制力のある新たな措置を設ける法改正を検討しているようだ。必要なのは強権的な姿勢ではなく、緊急時に機能する仕組みにほかならない。医療機関の理解や一般医療との両立を置き去りにしては、摩擦を強めかねない。感染が下火のときにこそ、しっかりと議論を重ねていくことが重要となる。
 新型コロナを巡っては、今春からは全国のどこかに出されてきた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が、ようやく9月末で終結した。飲食店への営業時間短縮要請も解除され、経済活動の本格再開へ向けた動きも強まっている。分科会の尾身茂会長は、「普段の生活、経済活動を取り戻すための新たなレベルの分類」と説明している。
 コロナ禍に対応した外国人のビジネス関係者や留学生らに対する入国制限を緩和し、各省庁の申請受け付けが始まった。ワクチン接種済みの日本人帰国者らの待機期間は10日から3日に短縮される。
 人の動きが活発化すれば感染のリスクは高まる。その兼ね合いをどこに求めるのか、政治の責任は重い。後手に回る対応や説明不足で信頼を失い、対策の要請が聞き入れられなくなる場面も見られた。感染防止策の徹底と、再流行に備えた対策強化に緊張感を持って取り組みたい。

高知のニュース 社説

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