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2021.11.08 08:00

小社会 小さな田

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 県内山間部の棚田を見るたびに思う。「どうして急斜面に田んぼを積み重ねていったのか」「こうまでして米を作る労苦はいかばかりか」。平地が少なかったのは大きな理由だろうが、民俗学者の宮本常一はこんな見立てを披露している。

 地下水が多い地形では、あぜを作れば水がたまる。だからあぜは崩れやすく田の幅を広くできない。土地によっては一帯がわずかずつ滑り落ちつつある。そんな地滑り地帯ではあぜを低く、田を小さくすることで土地の崩壊を防いでいる、と(「空からの民俗学」)。

 こうなるともはや、生産手段にとどまらない。国土保全にも一役買っていよう。本県を代表する棚田の一つ、梼原町神在居の千枚田。その約8割が耕作放棄されているという。

 全国に広まった棚田オーナー制度発祥の地。だが受け入れ農家の高齢化が進み、存亡の機にある。草に覆われ、一部は崩壊している石垣。見るからに痛々しい光景だろう。

 昔、ある農家が自分の家の田を1枚2枚と数えると、どうしても1枚足りない。よくよく見ると、みのを脱いで置いた下に1枚。その田には稲が6株しか植えられていなかった…。宮本は石川県能登でそんな話も書き留めている。

 先祖伝来の小さな田を守る努力は、これからも続いていくだろう。しかし農家や地域だけの力では限界を迎えている。10日発足する第2次岸田内閣に、山の現実は見えているだろうか。


11月8日のこよみ。
旧暦の10月4日に当たります。かのえ さる 一白 先勝。
日の出は6時31分、日の入りは17時08分。
月の出は10時14分、月の入りは20時03分、月齢は3.2です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で1時45分、潮位-2センチと、14時01分、潮位97センチです。
満潮は8時37分、潮位184センチと、19時30分、潮位185センチです。

11月9日のこよみ。
旧暦の10月5日に当たります。かのと とり 九紫 友引。
日の出は6時32分、日の入りは17時07分。
月の出は11時19分、月の入りは21時08分、月齢は4.2です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で2時32分、潮位8センチと、14時49分、潮位109センチです。
満潮は9時35分、潮位170センチと、20時10分、潮位172センチです。

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