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2021.11.04 08:00

【枝野代表辞任へ】立民は風に頼らぬ戦略を

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 衆院選が不振に終わった立憲民主党の枝野幸男代表が、執行役員会で辞任する意向を表明した。10日にも召集される特別国会の閉会日に代表を退くという。
 立民は、共産党など5党で候補者を一本化する「野党共闘」を組み、「政権選択選挙」と位置付ける衆院選に臨んだ。しかし、公示前の110議席を下回る96議席に沈み、その責任を取った形だ。野党連携の在り方も見直しを求められよう。
 新型コロナウイルス対策や経済対策など喫緊の課題が山積する中で、野党第1党の責任は極めて重い。党勢の立て直しに向けた取り組みを急ぐ必要がある。
 枝野代表は2017年、民進党の分裂時に希望の党への合流を拒まれたリベラル系議員らと新党を結成。前回衆院選では16議席から54議席へと躍進し、昨年9月に旧国民民主党と合流した現「立憲民主党」の代表に就いた。
 野党第1党として臨んだ今回の衆院選は政権奪取を目指し、全体の7割以上となる213選挙区で野党5党の候補者を一本化。与党候補との激戦に持ち込んだ選挙区が増えたことはその効果と言ってよい。
 ただし有権者の意識を、各党支持者の「足し算」でしか計算できていなかったのではないか。
 各党は共通政策で合意したとはいえ、安全保障といった基本的な政策での違いは大きかった。これまで競い合ってきた経緯もある。共闘を「野合」と批判する与党ばかりでなく、有権者も戸惑いを覚えたのではないか。
 立民最大の支援組織、連合の芳野友子会長が「組合員の票が行き場を失った」と苦言を呈したのはその一例だろう。共闘への反発から応援態勢が機能しない状況もみられた。
 そうした想定外の「引き算」が激戦を勝ち抜く力強さや盛り上がりを失わせたと言えよう。立民は小選挙区で公示前から9増の57議席に増やしたものの、比例では23減の39議席と完全に失速した。
 他党と歩調を合わせ政策の独自性はぼやけた。政府・与党への批判を通じて自らを「選択肢」と強調する姿勢も、有権者に新たな政権像を印象付けるには不十分だった。与党に対する反対票の受け皿となりきれなかったというほかない。
 代表戦は年内にも行われる見通しだ。結成以来、党をけん引した枝野氏の代表辞任で、新執行部は立て直しに向けた党改革を迫られる。挙党態勢を構築し、次期政権の選択肢として存在感を示すのは容易なことではあるまい。
 立民はこれまで、野党第1党ながら、政党支持率は自民党に大きく差をつけられてきた。地方組織の弱さも長年指摘される。
 そうした課題を抱えたままでは、無党派層などの風に頼った「戦術」を取らざるを得なくなる。今回の野党共闘もその域にとどまった。現状の支持組織に新たな支持層をどう積み上げていくのか。地道な「戦略」が求められている。

高知のニュース 社説

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