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2021.10.30 08:00

【2021衆院選 あす投開票】コロナ後への重い選択   

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 新型コロナウイルス感染症と向き合うようになって初めての大型国政選挙となった衆院選は、あす投開票される。
 岸田文雄首相の就任10日後に衆院は解散され、解散から17日後には投開票を迎えることになる。ともに戦後最短という時間の制約を受けるが、それぞれの政党、候補の公約を吟味して1票を投じたい。
 最大の焦点はコロナ対策だ。首相交代から間がないものの、安倍、菅政権からの一連の対応への評価が問われることになる。
 ワクチンの2回接種は人口の7割を超えた。その効果などで、現状は新規感染者数は低い水準に抑えられている。飲食店への営業時間短縮要請はほぼ解除され、経済活動は本格的再開へ動き始めた。
 だが、この春から9月末まで、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が、高知県を含め全国のどこかに出されてきた。直近「第5波」では医療が逼迫(ひっぱく)し、自宅療養者が13万人を超えた。自宅療養のまま亡くなる例も出ている。
 想定される第6波をにらみ、医療提供体制を充実させ、コロナで傷んだ暮らしや事業をいかに支援し再生するかが課題となる。教訓を生かし、社会経済生活への影響を軽減する対策を急ぐ必要がある。
 コロナを巡っては、緊急時に政府権限を強める緊急事態条項の新設も憲法改正に関連して取り上げられた。もとより憲法改正は賛否が分かれ重要な論点であるが、選挙戦で議論は深まったとは言い難い。
 経済政策も傷んだ経済の回復策と相まって論点となった。
 安倍政権が掲げ、菅政権が引き継いだ経済政策「アベノミクス」は株高を演出した一方で経済成長は力強さを欠き、賃金は上がらず格差拡大が指摘される。こうした状況に成長と分配が論じられた。ただ、道筋や実効性は不透明で財源論やばらまき批判も出された。分かりやすい説明が理解へつながっただろうか。
 少子高齢化が進む中で社会保障の改革、教育や子育て支援も欠かせない。外交や安全保障、脱炭素社会の実現、原発問題、地方創生、選択的夫婦別姓など論点は多岐にわたる。長期政権のおごりに説明不足や発信力不足も相まって生じた政治不信の解消も求められる。
 国民は主権者として国の政治に参加する権利がある。だが、前回の投票率は全国で53%台で、高知はさらに下回っている。
 海外に目を転じると、香港は民主派を事実上排除する選挙制度に変更された。ミャンマーでは選挙結果を受け入れない国軍が全権を掌握し、弾圧された民主派らと衝突も起きている。民主主義への市民の渇望とそれを守る困難を見せつける。
 コロナ禍は政治を直視させ、そのありようを考えるきっかけになったに違いない。どの政治勢力に今後を託すのか、民主主義の根幹である選挙を通して意思を示したい。

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